2021年11月25日

カート・エリングの新譜は?

何度も聴きたいと素直に思えるアルバムに久しぶりに出会えました。
先頃Edition Recordsから発売されたKurt Ellingの"Super Blue"。
これまでの彼のアルバムにはなかった新しいサウンドのファンキーなアルバムです。

メンバーはプロデューサーでギタリストのチャーリー・ハンターに加えて、ファンクやヒップホップをジャズに融合させたユニークなバンド、ブッチャー・ブラウンのメンバーであるドラマーのコリー・フォンヴィルとベーシスト・キーボーディストのDJハリソンといった若くて才能あふれる2人。

パンデミックにより移動が制限される中で、このアルバムはユニークな方法で制作されたそうです。
フォンヴィルとハリソンがハンターと打ち合わせをして、さまざまなグルーヴのリズムトラックを作成し、カートが自宅でそれらを受け取ってどのような曲に適しているのか判断し、ハリソンとともにボーカルとソロギターのトラックを制作して全体をミックスさせたとのこと。

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タイトル曲のSuper Blueは、フレディ・ハバードが78年にリリースしたアルバムの演奏で知られていますが、これにカートが歌詞をつけて生き生きと蘇らせています、
昔のスティービーワンダーを聴いているような懐かしいビートのベースラインが感じられます。

2曲目のSassyはジャニス・シーゲルとシェリル・ベンティ−ンが歌詞を書いたサラヴォーンに捧げる歌。
マントラのアルバムThe Offbeat Of Avenuesで聴くことができますが、カートのソロボーカルによる本作は力強く、メロディラインがくっきりと浮かび上がってきます。

3曲目のWhere to Find Itは、ウェイン・ショーターのエキゾチックな曲Aung San Suu Kyiにカートが歌詞を書いています。
全10曲のうち7曲にカートが歌詞をつけていて、今回じっくりと内容を聴きとってからこのブログで紹介しようかとも思ったのですが、このアルバムが2022年のグラミーにノミネートされたと聞き、急遽原稿をアップすることにしました。

残りのノミネートアルバムのご紹介はあらためて。

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posted by ありあ at 18:14| お勧めCD/ミュージシャン

歌い分ける個性が憧れ:ジャニス・シーゲル〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(22)

昔マンハッタン・トランスファーをよく聴いてました。
中でもジャニスがテーマを歌うロックテイストにあふれた楽曲が印象的でした。
Ray's RockhouseとかBoy From New York Cityとか・・。
彼女の全ソロアルバムのコレクションを年代順に聴いた中からお勧めをご紹介します。

2003年にTELARC2作目として出された"Friday Night Special"は、オルガン奏者のジョーイ・デフランセスコをフューチャーしたファンキーなアルバム。
オルガンジャズ黄金時代の1950、60年代にジャズ界の中心だった彼女の生まれ故郷フィラデルフィアを意識して作られたとのことです。
スタンダードでは、There's a Small HotelやMistyといった曲がアップテンポのノリがいいグルーヴで演奏されていて新鮮でした。

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TELARC4作目として2006年に出されたThousand Beautiful Things。
スザンヌ・ヴェガやポール・サイモン、ラウル・ミドンといったソングライターたちの楽曲をラテンテイストにアレンジしたアルバムです。
歌のアレンジとピアノはエドセル・ゴメス。
私のお気に入りはマイケル・ジャクソンが歌っていたスティービー ワンダー作のI Can't Help It・・・レパートリーに加えたくなりました。

ピアノの詩人とも呼ばれているフレッド・ハーシュとのアルバムではしっとりと歌うなど彼女の表現方法は多彩です。
なのでどのアルバムでも「マントラのジャニス」のイメージの迫力ある歌声が聴けるわけではありませんが。
彼女のソロアルバム2作目としてATLANTICから1987年に出された“At Home”では、フュージョン系のミュージシャンと共演するジャニスのハリのある歌声を聴くことができます。

今年69歳のジャニスが先頃リリースしたCryin' in My Whiskeyというアルバムも手に入れて聴いてみましたが、年代や楽曲や共演者の違いによって歌い分ける表現の中に、彼女の個性を感じることができました。

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posted by ありあ at 11:50| ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱