2022年01月22日

シーラ・ジョーダンの初期の音源がアルバムに

ブルーノートから発表された名盤Portrait Of Sheilaの2年前に録音された音源が発掘されました。
先頃リリースされたComes Love: Lost Session 1960。
ピアノトリオをバックに、31歳のシーラの若々しい歌声を聴くことができます。

ミュージシャンの名前が書かれていないのは、あまりにも昔の録音なので彼女自身が共演者を記憶していなかったかららしい。
収録された全11曲は全て間奏なしの歌いっぱなしです。

これまでに出されたアルバムに収録されていた曲も何曲かあるので、聴き比べるのも面白いです。
このアルバムではいずれもキーが高くなっていて、テンポも若干速くなって明るい印象。

シーラの歌は節回しのクセが独特であまり好みではないのよね、と今まで思っていた方にも、伸びやかな歌声が楽しめるこのアルバムはお勧めです!

とはいえ私が最も気に入った曲は、頭からフェイクが大胆なThey can't Take That Away From Me。
シーラ節もしっかり堪能できる必聴盤です。

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posted by ありあ at 02:08| お勧めCD/ミュージシャン

今年最初のライブ

1月21日(金)は池袋ホットペッパーで恒例となりました佐藤ミドリピアノトリオとのライブでした。
久しぶりにお運びくださったお客様。いつもお越し下さるお客様。
応援ありがとうございました!

この日は東京都の蔓延防止等重点措置の初日。
演奏は18時から、閉店は21時にと急遽決定し、慌ただしいスケジュールをこなしましたが、それでも演奏する機会が与えられているのは幸せなことです。

いつまで経っても出口が見えない、暗いトンネルの中を手探りで歩いているような毎日。
少しでもいい音楽をお届けして、ともに元気で明日を迎えたいと心の底から願って演奏しました。

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写真撮影は古谷慎治さん。
私はこの日のためにPCR検査を済ませていますが、念のためマスクをし、ビニールシートの中で歌いました。

次回のホットペッパーのライブは3月2日(水)。
またお目にかかれる日まで、皆様お元気でお過ごし下さい。

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posted by ありあ at 02:05| ライブのご報告

2022年01月16日

2022年のグラミー賞ノミネートは?

新しい動向が知りたくて、毎年ノミネートアルバムを聴くことにしています。
今年も新型コロナの影響で、発表日が延期されることになりました。

今回ベスト・ジャズヴォーカル・アルバムにノミネートされたアーティスト/アルバムタイトルはこちら

カート・エリング&チャーリー・ハンター/SuperBlue
サ・ベイラー・プロジェクト/Generations
ニーナ・フリーロン/Time Traveler
グレッチェン・パーラト/Flor
エスペランサ・スポルディング/Songwrites Apothecary Lab

これまでにブログでご紹介していなかったアルバムは次の2枚です。

The Baylor Projectはヴォーカリストのジャン・ベイラーとドラマーのマーカス・ベイラーの夫婦によるデュオ。
2017年のデビューアルバムThe Journeyもジャズ・ヴォーカル・アルバムとトラディショナルR&Bパフォーマンスの2部門にノミネートされていましたが、今回のアルバムは更にパワーアップしています。

サックス奏者のケニー・ギャレット、ヴォーカリストのジャズメイヤ・ホーンとダイアン・リーブスなど、ゲストが多彩。
「ソウルとジャズの境界線」と評していた記事を目にしましたが、正にそのとおりで、懐かしいソウル・ミュージックのノリを思わせる曲がある一方、Bopフィーリングなスキャット合戦が展開されたり。。。。

最後の曲名“Benediction”は祝祷という意味。
家族や愛をインスピレーションさせる余韻を残したアルバムです。

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Esperanza Spaldingは、2020年の第62回グラミー賞を前作12 Little Spellsで受賞しています。
今回のアルバムは、人々のストレスや悲しみを和らげるために、音楽実験の場「ソングライツ・アポセカリー・ラボ」において、神経科学や音楽療法など多様な分野の専門家との協力で生まれたヒーリング・アルバムだそう。

切れ目なく続く12曲はうち2曲を除いて全て彼女の作。
やわらかな声が自在に羽ばたき、大きなものに身を任せようという気持ちが沸いてくる歌詞がついています。

共演するミュージシャンも多彩で、キューバ出身ドラマーのフランシスコ・メラやアルゼンチン人ピアニストのレオ・ジェノヴェス、トロンボーン奏者のコーリー・キングら。
ウェイン・ショーターの突然のアドリブ炸裂に驚かされたりして、私にはほとんどヒーリング効果が感じられませんでしたが。。。

最後にもう1枚。
過去にこのブログでも紹介したヴォーカリスト、ジャズメイア・ホーンの3作目のアルバム、Dear LoveがBest Large Jazz Ensemble Albumにノミネートされていました。

15人編成のビッグバンドNoble Forceの演奏は全て彼女自身がアレンジ。
Lover come Back to MeやHe's My Guyといったスタンダードナンバーも取り上げられていますが、語りで通す曲があったり、驚異のハイトーンで盛り上げる曲があったり、刺激的なアルバムです。

発表は3月頃になるでしょうか。
どのアルバムが受賞するのか、全く予想できません。

(追記)発表・授賞式が4月3日(日本時間4日)に開かれ、エスペランサ・スポルディングさんのアルバムが受賞しました。

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posted by ありあ at 23:54| お勧めCD/ミュージシャン

2022年01月05日

絶妙なタイム感覚:シャーリー・ホーン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(8)

(かつて掲載していた記事を消してしまったので、あらためて以下に再掲しました)

以前にこのブログでも新しいアルバムを紹介したピアニスト兼ヴォーカリストのShirley Horn (1934 –2005)。
彼女がニューヨークに進出したのもマイルス。デイヴィスらの勧めがあったからで、多くのジャズ・ミュージシャンが賞賛してきた実力派です。
私の周りのシンガーにも彼女のファンが多数おられます。

今回は手持ちのアルバム23枚を年代順に聴いていきましたが、バラードの美しさもさることながら、力強いスタイルのswingもお得意で、どれがお勧めなのか迷うほどでした。

有名なアルバムではマイルスのレパートリー曲を97年に録音し、グラミー賞を受賞した“I Remember Miles”がありますが。

ここでは、マイルスが珍しくヴォーカリストのサイドマンで参加した1991年録音の“You Won't Forget Me”をご紹介します。
マイルスが、亡くなる直前のミュート・プレイをタイトル曲で披露しており、そのほかにも、ウィントン・マルサリス(tp)、ブランフォード・マルサリス(ts)、トゥーツ・シールマンス(g, harmonica)といった豪華なゲストが参加しています。

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マイルスから彼女が評価されていたのも「間」の感覚が彼の演奏に共通していたからではないかと言われたりしていました。

彼女の場合‘It Had to Be You’のようなバラードで聴かれるテンポが超スロウ。
swingする曲でも、歌うフレーズの合間にオブリガート(ソロの合間にメロディを入れること)がしっかり絡んでいます。

ヴォーカリストとピアニストが別々の場合には、フレーズの最後にヴォーカリストが意識的に間をとると、ピアニストがそれに気づいてオブリをはさんでくれて、両者の掛け合いになったりします。
あるいは、ピアニストのオブリを聴いていて、それらが終わったタイミングで歌のフレーズを入れたり。
私の場合はそんな感じで、そうやってその場その場での掛け合いを成立させるところに、スリリングな面白さがあるのですが。

彼女の場合には、それらを一人でやっているのですから、自分の歌にピアノのサウンドを絶妙に絡ませることができるわけで。
変化がつけにくくなる超スロウのバラードでも、合間にコーンとアクセントを効かせたサウンドを響かせたり。

そのほかに私が好きなアルバムは、ジョー・ヘンダーソン(ts)やエルビン・ジョーンズ(ds)が参加している“The Main Ingredient”(1996)。
比較的初期のアルバムでは“A Lazy Afternoon”(1978)。

ばりばりスキャトをしたり、原曲の姿をとどめないようなアレンジをしたりといった派手さはないですが、歌心がわかる歌伴がしたいと願うピアニストの方にも格好のお手本になる名演ぞろいです。

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posted by ありあ at 23:35| ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱