2022年11月23日

タワンダのデビュー・アルバム 聴きました!

今回ご紹介するTawanda(タワンダ・スースブリッチ・ジョアキム)も2021年の第9回サラ・ヴォーン・インターナショナル・ジャズ・ボーカル・コンペティションに25歳で優勝。
ジョージ・クラビンのプロデュースにより、彼のジャズ・レーベル、レゾナンス・レコードからファースト・アルバム“Smile”がこのほど発売されました。

説得力のあるヴォーカルというのが第一印象。
声の艶やかさ、天性のスウィング感に加えて、ディクションの確かさが際立っているので、何を歌っているのか歌詞が明瞭に聞き取れて、歌の世界がぐいぐいと迫ってくるのです。

力強い歌唱で印象的だったのはI'm Okay。
アルゼンチンのピアニスト、エディ・デル・バリオが作曲し、ダイアン・リーヴスがレコーディングしていた曲です。
ライナーノーツによれば、タワンダは、ダイアン・リーヴスから大きな影響を受けているそうで、この曲についても、強さと誇りを感じさせる、地に足の着いた曲・・・と語っていました。

タワンダはスキャットも自在ですが、彼女の使うシラブルやフレージングの中には、ダイアン・リーヴスを思わせるところも随所に感じられたような。
What a Little Moonlight Can Do や Out of This World といったテンポの早いスタンダード曲がチャレンジングで新鮮でした。

ドイツ生まれの母親とモザンビーク出身の父親のもとで、国際色豊かな音楽を聴いて育った彼女は、進学したサンタフェ芸術デザイン大学でジャズに出会い、解放的なジャズの世界に衝撃を受けたとのこと。

このアルバムを聴いていても、ポジティブな思いを各々の楽曲から感じ取ることができました。
これからの活躍に注目です。

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posted by ありあ at 03:23| お勧めCD/ミュージシャン

2022年11月12日

サマラ・ジョイのメジャー・デビュー・アルバム

弱冠22歳にして圧倒的な歌唱力。
Samara Joyが名門Verveと契約してこのほどリリースしたアルバムLinger A whileを聴きました。

2019年にサラ・ヴォーン・インターナショナル・ジャズ・ボーカル・コンペティションで優勝した彼女。
深いところからの発声はサラを思わせ、ベルベットのような声質は彼女が好きなカーメンのよう。しかも抜群のswing感。

このアルバムには、MistyやSomeone to Watch Over Me、'Round Midnightといったスタンダードナンバーも収録されていますが。
私が最も注目したのはファッツ・ナヴァロのNostalgiaのヴォーカリーズでした。

彼女はニューヨーク州立大学パーチェスカレッジを2021年に卒業しているのですが、インタビュー動画によれば、大学で受講していたジョン・ファディスによるトランスクライブの授業で心引かれたのが、ファッツ・ナバロのメロディアスなソロ。
歌詞をつけるようにとジョンから勧められたのだそうです。

ファッツ・ナバロへの敬意をこめた歌詞が綴られているのですが、のびのびと自然で、惚れ込んだ曲を楽しそうに歌っている様子が声を聴くだけで伝わってくるのです。

共演はパスカーレ・グラッソ(g)、ベン・パターソン(p)、デイヴィッド・ウォン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。

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そんな彼女のファースト・アルバムは、昨年2021年にWHIRLWIND RECORDSというところから出されています。
こちらはギター・トリオとの演奏で、パスカーレのギター、アリ・ローランドのベース、ドラムスはケニー・ワシントン。プロデューサーはマット・ピアソン。
 
StardustやLover Manといった大スタンダードも収録されていますが、私がいいなと思ったのはアップテンポにSWINGする曲。

ギタートリオによる演奏だからでしょうか。1988年生まれ、イタリア出身のパスカーレによる超絶技巧に触発されてか、サマラの歌が気持ちよくノっているのです。
ビリー・ホリデイがゆったりしたテンポで歌っていたLet's Dream In The Moonlightや Everything Happens To Meといった曲のアプローチが新鮮でした。

サマラはスキャットをバリバリ繰り出すわけではないですが、フェイクが抜群にうまい。
これまで多くの偉大なシンガーが歌ってきた曲をより魅力的にしています。
彼女のTikTokも話題だそうで、ジャズ・ヴォーカルの新しい時代を担う逸材に今後とも注目していきたいと思います。

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posted by ありあ at 15:38| お勧めCD/ミュージシャン

2022年11月06日

マントラ50周年記念アルバムが出ました

マンハッタン・トランスファーが結成されてなんと50年になるそうです。
このほど発売されたFIFTYは、全曲がオーケストラ仕様の豪華なアルバム。

メンバーのアラン・ポールが書いたライナーノーツによれば、グループの歴史の中で重要な瞬間を表すような曲や、必ずしもヒット曲ではないけれど自分たちが本当に好きな曲が選ばれたのだそう。

全10曲の中で私が繰り返し聴いているお気に入りは次の3曲。
いずれもアラン・ポールがヴォーカル・アレンジをしている曲になりました。

シングルでも大ヒットしたTwilight Zone / Twilight Toneは、シェリル・ベンティーンが正式加入した1979年のアルバムExtentionsに収録されていた曲です。
オーケストラ用のアレンジでより重厚な雰囲気。
ジェニス・シーゲルのソロボーカルもフェイクが活き活きとしています。

What Goes Around, Comes Aroundはアトランティックからコロンビアに移籍した1991年のアルバムThe Offbeat of Avenuesに収録されていたダンサブルな曲。
こちらはメンバーが全ての曲づくりに携わるようになった最初のアルバムです。

今回はじめて抄録されたのはガーシュインの曲でThe Man I Love。
1945年のアーティ・ショーのバンド演奏での楽器のソロに歌詞をつけたヴォーカリーズのスタイルをとっていますが、これまでアルバムに収録される機会がなかったとのこと。
シェリルの驚異的なハイトーンが必聴です。

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シェリルは1954年生まれ、ジャニスは1952年、アランは1949年!
時が止まったかのよう。年齢を全く感じさせない歌声に脱帽です。
ファイナル・ワールド・ツアーも行われるそうで、来年の日本公演に期待が高まります。

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posted by ありあ at 04:12| お勧めCD/ミュージシャン

2022年11月05日

11月のホットペッパー

11月4日(金)は池袋のホットペッパーで佐藤ミドリピアノトリオの皆さんと出演させていただきました。

このところ寒さが増してきて、いわゆる寒暖差アレルギーの私にとってつらい毎日が続いていましたが、なぜかライブが始まると、おはなぐすぐすが気にならなくなってくるのが不思議です。

今回の新曲はリクエストをいただいたレイ・チャールズの曲、Hit the Rode Jack。
聞いた音源ではバックにコーラスが入っていたので、自分なりにアレンジを加えてみました。

久しぶりの曲は、
バカラックの曲でWives and Lovers
コルトレーンの名演でお馴染みのToo young to go steady
ハロルド・アーレンとジョニー・マーサーによるOut of this World.
ディズニーの曲でAlice in Wonderland.   ジョビンのFelicidade.
I've never been in love beforeはベースのうのさんとDUOで。
秋の曲はジョニー・ハートマンが歌っていたAutumen Serenadeを。

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写真撮影は古谷慎治さん。今の時期は新型コロナ対策のためビニールシートの中で歌っています。

次回のホットペッパーのライブはメンバーの都合がなかなか合わず、来年の1月5日(木)。
お正月明け最初のライブです。少し先になるのでどんな新曲を用意するか今から楽しみ。
リクエストもありましたら事前に私あてご連絡いただければ、当日楽譜を持参します!
皆様のお越しをお待ちしています。

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posted by ありあ at 03:09| ライブのご報告