2024年01月18日

ヴェロニカ・スウィフトはジャンルを超えて力づよく

少し前まで繰り返し聴いていたアルバムが昨年リリースされたヴェロニカ・スウィフトの『Veronica Swift』。
歌手デビュー20周年を迎えた1994年生まれの米国のシンガーです。

ビ・バップスタイルのスキャットも素晴らしいのですが、クイーンの曲やベートーヴェンの月光など、ロックやクラシックといった様々なジャンルの曲がモチーフとなった楽曲が刺激的です。

色々な音楽をただ混ぜ合わせただけではないトランス・ジャンルというコンセプトを掲げたこのアルバム。
それまでジャズしか演奏する機会が与えられていなかったことに対して、こんなことでいいのだろうかとコロナ禍をきっかけとして深く考え、再出発を図ったとのこと。
「今の私の音楽が全て盛り込まれたはじめてのレコード」だそうです。

このアルバムのプロデューサーとなったブライアン・ヴィグリオーネのエッジのきいたドラミングが演奏の迫力を増しています。

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posted by ありあ at 17:11| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月09日

去年の新譜:マリさんえりさん

中本マリさんと大野えりさんは、私がジャズ・ヴォーカルを勉強しはじめたときからアルバムを聴いて刺激を受けていた大好きなヴォーカリストです。
そのお二人が昨年新譜をリリースしています。

中本マリさんのアルバムのタイトルは“MUSE1”
曽根麻央さんをアレンジャーに迎え、マリさんのかつてのオリジナル曲を若手のミュージシャンの方々ととともに新しく蘇らせています。
マリさんは現在76歳。
声のハスキーさに深みがましていて、重厚感のあるサウンドを全体的に感じました。

大野えりさんは松本治氏のアレンジによるエリントン・ナンバーのアルバム“Osamu Matsumoto Duke on the Winds feat.Eri Ohno”に参加しています。
こちらは、木管楽器奏者5人とウッドベースというドラムレスな編成がユニーク。
アンサンブルの斬新なアレンジにとにかく驚かされます。
そこに溶け込んでいるかのようなえりさんの、時に力強く時に甘い歌声。
おもちゃ箱をひっくり返したようなA flower Is a Love Some ThingやスリリングなヴァースのLush Lifeが特に印象に残っています。

円熟したシンガーでなければ表現できない奥深さをそれぞれに感じました。

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posted by ありあ at 00:37| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月07日

今年のグラミー賞ノミネートは?

新しい動向に触れたくて、毎年この時期はノミネートに注目しています。

今回Best Jazz Vocal Albumにノミネートされたアルバムです。
Mélusine/セシル・マクロリン・サリヴァント
Alive at the Village Vanguard/フレッド・ハーシュ&エスペランサ・スポルディング
Lean In/グレッチェン・パーラト&リオーネル・ルエケ
How Love Begins/ニコール・ズライティス
For Ella 2 /パティ・オースティンFeaturing ゴードン・グッドウィン’ズ ビッグファットバンド

このブログで取り上げてこなかったアルバムを順不同でご紹介しますね。

リオーネル・ルエケは西アフリカ出身、パーカッシブなギターで聴衆を魅了するギタリスト兼ヴォーカリストです。
グレッチェン・パーラトとはセロニアス・モンク・インスティチュート・オブ・ジャズで共に学んでいた仲だったそう。
本作は、これまでも互いのアルバムで客演していた二人のはじめての連名のアルバム。
息の合ったアンサンブルは、アフリカやブラジルなど多国籍なサウンドで、独自のグルーヴを感じることができ、お勧めです。

ジャズへの傾倒著しいパティ・オースティンが"For Ella”をリリースしたのが2002年。
Gordon Goodwin率いるBig Phat Bandと共演する本作“For Ella 2”は、期待を裏切らないゴードンの斬新なアレンジにパティのパワフルな歌唱がベストマッチングです。
どの曲も迫力がありますが、私のお気に入りは‘Get Happy' 。ゴスペル風のアレンジが刺激的です。
このアルバムは配信のみのリリースだそう。

ニコール・ズライティスはNYを拠点に活動しているピアニスト兼ヴォーカリスト。
クリスチャン・マクブライドを共同プロデューサーに迎えたアルバムです。
ほとんどの曲がニコールの作詞・作曲。そんな中、ドビュッシーの曲に彼女が歌詞を書いてアレンジした楽曲がユニーク。
ギラッド・ヘクセルマンのギターもいい。

今回のセシルのアルバムは、フランスの伝承に登場する水の精霊・メリュジーヌの物語を、オリジナルの楽曲と12世紀まで遡る曲に新しい解釈を加えた楽曲を組み合わせて表現している、とのこと。
フランス語を中心に言語が多彩。シャンソン調の曲があったかと思えば、パーカッションがフューチャーされたエキゾチックな曲も。
国籍不明の不思議な世界に迷い込んだ気持ちになります。

2/5追記:グラミー賞はニコール・ズライティスでした。

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posted by ありあ at 23:19| お勧めCD/ミュージシャン