2015年11月12日

ジャズシンガーのレジェンド:ビリー・ホリデイ〜はじめて聴くジャズ・ボーカル(8)

はじめてジャズボーカルを聴く方のために私なりに選んだボーカリストとCDのご紹介。
第8回目はBillie Holiday(1915-1959)です。
今年で生誕100年!

これまでサラ、エラ、カーメンという女性ジャズ・ボーカリストの御三家と言われるシンガーを取り上げましたが、ビリーは多くのシンガーに最も影響を与えた史上最高のジャズシンガーとして評価されています。

彼女を信奉している歌い手やリスナーの方に比べたら、彼女の歌の良さについてまだまだ理解が足りないと思うのですが、今回は手元にあった32枚のCDを年代順に聴き、私なりの感性で、このCDは素晴らしいな、お勧めしたいなというものを選んでみました。

ビリーの歌は、30年代半ばから40年代にかけてが絶頂期だと評価する方が多いのではないかと思います。
高い音程の声がクリアにストレートに響いて美しい、この時期の名唱を厳選したお得なベスト盤が“Lady Day"です。
Lester Young(ts)をはじめとし、Buck Clayton(tp)、Benny Goodman(cl)、Teddy Wilson(p)、Walter Page(b)、Jo Jones(ds)といった蒼々たるメンバーが名前を連ねています。
KADY DAY.jpg

ビリーは声量がないし音域も広くないけれど、オリジナリティにあふれた歌を歌っていたところが、まさに「ジャズ」シンガーとして、多くの偉大なジャズ・ミュージシャンから評価されていたのだと思います。
リズムはゆったり大きくスイングするノリが特徴的。

前にこのブログでも紹介したM.C.Gridleyの“Jazz Styles, 11th"(2011)には、単語やフレーズの出だしが遅れるビリーのリズムは、ルイ・アームストロングの影響を受けていたと書かれていたのですが、外山嘉雄氏のWEBサイトによれば、サッチモは当時のバンドが2ビートで演奏していた中で、4ビートのスイング感で演奏し、観衆を熱狂させたそうです。
 http://satchmo.seesaa.net/article/28034427.html
ビリーの歌が持つノリの素晴らしさも、そのあたりからきているのかもしれませんね。

この時代のジャズはズンチャ、ズンチャという2拍ノリのスイング・ジャズ。
しかも録音状態がよくないので馴染めない、という方も少なくないのでは?と思います。
私の好みのビリーのCDは50年代半ばに録音されたもの。
ノーマン・グランツという人が新しい時代のプレイヤーを選び、30年代のビリーとは違う新しさを引き出そうとプロデュースしたVerveレコードでの作品群です。

その中でお気に入りは“Stay with Me"。
1954年に録音されたクラリネットのTony Scottのバンドによる演奏と、1955年録音のCharlie Shavers(tp)、Oscar Peterson(p)、Herb Ellis(g)、Ray Brown(b)、Ed Shaughnessy(ds)といったメンバーによる演奏が収められています。
彼女の十八番である‘What a Little Moonlight can do’を“Lady Day"に収録されていたバージョンと聴き比べていただくと、こちらのCDの演奏が4拍ノリになっていて、まさにモダンジャズの時代の演奏になっていることがよくわかると思います。ピアノはオスカーピーターソン。
ミュージシャンのソロもどれも素晴らしいです。
220px-Billieholidaystaywithme.jpg

同じ楽しみ方ができるこの時期のCDに1957年録音の"Body and Soul"があります。
"All Or Nothing At All"というCDにもこの日のセッションが分かれて収録されていますが、中でもバーニー・ケッセルのギターが素晴らしいです。

この時代のCDでは、ミュージシャンのアドリブにも注意して耳を傾けたい。。。
ビリーの歌の雰囲気にあっていてかつモダン・ジャズの典型的なフレーズが演奏されているので勉強になります。
オブリガード(歌と同時に演奏されて歌のメロディの合間を埋める短いフレーズ)も歌をひきたてていて美しい。

この時代のライブ盤では、ミュージシャンのソロ回しがない分、ビリーががっつりと歌っている、1956年録音の“The Essential Billie Holliday:Carnegie Hall Concert"で、彼女の歌の素晴らしさが堪能できます。
ライブでの演奏にもかかわらず、曲のテンポを自在にコントロールしてバンドをひっぱっているところに脱帽!

KA-NEGI-HO-RU.jpg

ドラッグで身を持ち崩し、声の衰えが顕著だった晩年のビリーですが、じっくり聴いてみると評価できる点があまたあることに気づきます。


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posted by ありあ at 03:42| Comment(0) | はじめて聴くジャズボーカル
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