2015年12月16日

今月のジャズ聴き比べ:「ブラインド」の功罪?

毎月第三火曜日に新宿の朝日カルチャーセンターで開講されている寺島靖国氏の「ジャズ聴き比べの楽しみ」
今年最後の講座にがんばって出席してきました。

はじめは、IMPULSEというレーベルから先頃エソトリック社がリマスター、SACD化したものとオリジナルとを聴き比べる件。
インパルスは、ジャズ専門レーベルとして録音スタジオや技術にこだわりを持っていたところらしいですが、ジョン・コルトレーンのイメージがあるレーベルですよね。

今回聴き比べたのは、ドラムスのロイ・ヘインズのカルテットが1962年に録音した“Out of the Afternoon"というアルバムから‘Moon Ray’という曲。
どちらの音が好みかとのご質問がありましたが、リマスターした方は、耳ざわりにならないよう音をスムーズにしたりして、音のまとまりを作っているらしい。
より自然な演奏に聞こえる感じがするので、私はオリジナル盤の方が好みでしたが。。

続いてはいわゆる「ブラインド」を試みる件。
「ブラインド」とは、アルバムを見ずに楽器の音だけを聞いて演奏者をあてるゲームだそうです。

今回は、ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンの聴き分け。
ロリンズの“There Will Never Be Another You”(1965)というアルバムから‘To A Wild Rose’という曲と、“Duke Ellington & John Coltrane”(1962)というアルバムから‘In a Sentimental Mood’のコルトレーンのソロを聴いた後で、さて次の曲は誰が演奏しているのかあててみましょう、といった具合に進みました。

確かにミュージシャンによって、特徴的なフレージングや音色があるのですが、「ブラインド」ができる/できないを問うことが、ジャズの敷居を高くしてしまっているのではないか、とのご意見も受講者の方から出ていました。

外出先でBGMのように流れているジャズですら、参考になりそうな演奏だったら(ボーカルものだったら特に)これ誰?とばかりに、私も日頃、思わず耳をそばだててしまっています。
周囲の人と会話しながら同時に演奏にも集中できるのは、もはや特技のようなもの?!

しかしながら、同じミュージシャンでも時代によって演奏スタイルが変わり、同じ日の録音でもテイクによって出来不出来が変わってくるのですから、耳にした演奏が誰によるものなのかあてることができなくても、私の場合はほとんど気にしていません。
「あ、これカッコいい!」と思える演奏により多く出会えればいいし、その時に演奏者が誰だか確認できれば、フラストレーションが溜まらなくてより嬉しい、といった程度です。

マイルスのモード奏法やオーネット・コールマンが登場した50年代末に、自らの方向性に悩んだロリンズは、しばらく公の場から雲隠れしていたそうですが、その影響からか、活動再開後の彼のアドリブの中には迷いがあるフレーズが少なくないので、彼のCDを聴いてアドリブの採譜をするときには、どの時期の演奏か確かめるようにという話を、師匠の大森明氏から聞いたことがあります。
そういえば今日聴いたロリンズのソロも、フレージングにあまり勢いがなくて、本来のロリンズの良さが感じられなかったような。。。。

人間なんだから時に迷いもあり、演奏にも様々な表情がでて一様ではない。
自由に自らを表現するジャズだからこそ、逆にそのあたりにおもしろさがあるのではないかと思うのです。


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posted by ありあ at 01:41| Comment(0) | ジャズ聴き比べ
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