2016年02月21日

円熟したエンターテイナーの魅力:メル・トーメ〜はじめて聴くジャズ・ボーカル(12)

はじめてジャズボーカルを聴く方のために私なりに選んだボーカリストとCDのご紹介。
第12回目はMe Tormé(1925 – 1999)。
繊細でソフトな歌声から「ヴェルヴェットの霧」The Velvet Fogと呼ばれていたそうです。

これまでメル・トーメのCDをまとめて聴いたことがなかったのですが、今回は手元にある30枚のアルバムを年代順に聴いて、お勧めをリストアップしていきたいと思います。

彼の若い頃のアルバムでは、ポピュラーソングの歌手のような歌い方が多かったように思うのですが、年齢を重ねるにつれて、特にライブ録音で、ジャズ・シンガーとしての本領を発揮しています。

お勧めはビッグバンドをバックにした“The Great American Songbook”(1992)。  
この時の彼は67才なのですが、ヴェルヴェット・ヴォイスを活かしてスキャットを軽快にこなしたり、美しいハイトーンを響かせたりしていて、全く年齢を感じさせません。
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この頃のライブ録音には、ほかにも1992年の“Sing Sing Sing”や 1993年の“Live at the Playboy Jazz Festival”などがありますが、おなじみのスタンダードをメドレーで次々披露したり、速いテンポの曲でオーディエンスを盛り上げるなど、エンターテイナーぶりを遺憾なく発揮しています。

次にお勧めするのは、盲目のピアニスト、ジョージ・シアリング(George Shearing)(1919- 2011)と共演している一連のアルバム。
スタンダード曲の定番「バードランドの子守唄」を作曲した人です。

メル・トーメとジョージは10年に渡ってコンビを組んでいましたが、中でも1982年の“An Evening with George Shearing & Me Tormé”はグラミー賞を受賞しています。
「バードランドの子守唄」だけでなく、‘You'd Be So Nice To Come Home To’といった大スタンダードナンバーが多く取り上げられていて、選曲も親しみやすくなっています。

ジョージが当時Duoを組んでいたのがブライアン・トーフ(Brian Torff)という1954年生まれの若手のベーシスト。
彼の演奏は、しっかりとビートを刻みながらピアノの旋律に絡んでいく、私好みのスタイルです。
そこにメール・トーメが加わる3人のインタープレイがスリリング!
この3人の演奏は“Top Drawer”(1983)でも楽しむことができます。

今回彼のCDを順に聴いていきましたが、年齢を重ねるほど、ジャズ・ヴォーカリストとしてのエンターテイナーぶりが増していっているような印象を受けました。
ジャズは難しい・・といった先入観をお持ちの方も、メル・トーメのCDを聴くと、ジャズが楽しいものだということにあらためて気づかれるのではないかと思います。

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posted by ありあ at 22:47| Comment(0) | はじめて聴くジャズボーカル
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