2021年03月25日

グレッチェン・パーラトの新譜:フロール

2015年のアルバムLive in NYCがグラミー賞のBest Jazz Vocal Album,にノミネートされたのをきっかけにして、私も過去のアルバムを聴いてきました。
こちらは10年ぶりのスタジオ録音です。

透きとおるウィスパーヴォイス。
その声質を活かして、ブラジル系のテイストがこれまでのアルバムでは中心になっていましたが、今回の選曲も独特。

オリジナルに加えてアニタ・ベイカーや、ロイ・ハーグローヴ、.バッハ、デヴイッド・ボウイなども、彼女ならではのサウンドで料理されています。

ミュージシャンは、ブラジル人ギタリスト&カヴァキーニョ奏者のマルセル・カマルゴ、
チェリストのアルティョム・マヌキアン
パーカッション奏者のレオ・コスタ がメイン。

ベースの代わりにチェロ、ドラムセットではなくパーカッションによって奏でられる軽いサウンド。
歌詞をつけずにハミングのようなスキャットで通す曲も多かったです。

個人的にはピシンギーニャの曲「ロサ」と.バッハの無伴奏チェロ組曲がよかったかな。
「聴かせよう」としなくてもハミングだけでも十分楽曲として成り立つんだと気づかせてくれましたが、それも確かな歌のスキルがあってこそ。

florというのはポルトガル語で花の意味だそう。
花が咲き始め、目覚める。女性としての自分の在り方のメタファーとして。
子育てに専念してきたけれどまた音楽に戻ってお届けするという意味がこめられているそうです。

パーラト.jpg

自分の声に対しては、正直で偽りのない状態であろうとする直感に従ってきた、と彼女がかつてのインタビューに答えていたのを思い出しました。
独特の声を活かした歌唱法とサウンドが楽曲を届けるコンセプトと相まって個性的な魅力を放ったアルバムです。

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posted by ありあ at 13:59| お勧めCD/ミュージシャン