2024年02月05日

そしてまたブロッサム・ディアリーを

自分の音楽を真っ直ぐに追求してきたヴォーカリスト&ピアニストのBlossom Dearieについては、このブログでもこれまでに紹介してきましたが。

1966〜70年にロンドンのフォンタナ・レーベルで録音された未発表の音源が彼女の実家で発見され、昨年夏に2枚組のアルバムになって発売されました。
タイトルはFeeling Good Being Me: The Lost And Found London Sessions

国内盤には、彼女の生い立ちや音楽歴が豊富な写真とともに詳しく紹介されているブックレットの日本語訳〜なんと35Pもあります!〜が付いていて、読みながら、あらためて彼女の音楽への思いに心を寄せることができました。

どんな風に作曲をしているのか、なんていうエピソードが入っていたり、音源には「こんな風に演奏したら」みたいにメンバーと打ち合わせしてる声が入っていたり。

特に1枚目の最初に収録されていたRings and Thingsという彼女の自作曲が華麗で素敵でした。

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posted by ありあ at 17:35| お勧めCD/ミュージシャン

カート・エリング SuperBlueの続編は?

私の好きなKurt Ellingが昨年秋にリリースしたアルバム。
(受賞は逃しましたが)2024年のグラミー賞BEST ALTERNATIVE JAZZ ALBUMにノミネートされていたのがSuperblue: The Iridescent Spreeです。
ギタリストのチャーリー・ハンターとの共作。

Popやソウル、ファンクなどジャンルを超えた楽曲ばかり。
聞き終わっても頭からリフが離れないBounce itはドラマー&ソングライターのNate Smithの曲にカートが歌詞をつけています。
ほかにもカートの作詞によるオーネット・コールマンのOnly the Lonely Woman、
ボブ・ドロー作詞作曲のNaugh Number Nine といったところが私のお気に入り。

どの曲もコーリー・フォンヴィルのファンキーなドラムに心揺さぶられます。
ベース/キーボードはマルチなDJハリソン。

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posted by ありあ at 14:00| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月18日

ヴェロニカ・スウィフトはジャンルを超えて力づよく

少し前まで繰り返し聴いていたアルバムが昨年リリースされたヴェロニカ・スウィフトの『Veronica Swift』。
歌手デビュー20周年を迎えた1994年生まれの米国のシンガーです。

ビ・バップスタイルのスキャットも素晴らしいのですが、クイーンの曲やベートーヴェンの月光など、ロックやクラシックといった様々なジャンルの曲がモチーフとなった楽曲が刺激的です。

色々な音楽をただ混ぜ合わせただけではないトランス・ジャンルというコンセプトを掲げたこのアルバム。
それまでジャズしか演奏する機会が与えられていなかったことに対して、こんなことでいいのだろうかとコロナ禍をきっかけとして深く考え、再出発を図ったとのこと。
「今の私の音楽が全て盛り込まれたはじめてのレコード」だそうです。

このアルバムのプロデューサーとなったブライアン・ヴィグリオーネのエッジのきいたドラミングが演奏の迫力を増しています。

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posted by ありあ at 17:11| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月09日

去年の新譜:マリさんえりさん

中本マリさんと大野えりさんは、私がジャズ・ヴォーカルを勉強しはじめたときからアルバムを聴いて刺激を受けていた大好きなヴォーカリストです。
そのお二人が昨年新譜をリリースしています。

中本マリさんのアルバムのタイトルは“MUSE1”
曽根麻央さんをアレンジャーに迎え、マリさんのかつてのオリジナル曲を若手のミュージシャンの方々ととともに新しく蘇らせています。
マリさんは現在76歳。
声のハスキーさに深みがましていて、重厚感のあるサウンドを全体的に感じました。

大野えりさんは松本治氏のアレンジによるエリントン・ナンバーのアルバム“Osamu Matsumoto Duke on the Winds feat.Eri Ohno”に参加しています。
こちらは、木管楽器奏者5人とウッドベースというドラムレスな編成がユニーク。
アンサンブルの斬新なアレンジにとにかく驚かされます。
そこに溶け込んでいるかのようなえりさんの、時に力強く時に甘い歌声。
おもちゃ箱をひっくり返したようなA flower Is a Love Some ThingやスリリングなヴァースのLush Lifeが特に印象に残っています。

円熟したシンガーでなければ表現できない奥深さをそれぞれに感じました。

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posted by ありあ at 00:37| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月07日

今年のグラミー賞ノミネートは?

新しい動向に触れたくて、毎年この時期はノミネートに注目しています。

今回Best Jazz Vocal Albumにノミネートされたアルバムです。
Mélusine/セシル・マクロリン・サリヴァント
Alive at the Village Vanguard/フレッド・ハーシュ&エスペランサ・スポルディング
Lean In/グレッチェン・パーラト&リオーネル・ルエケ
How Love Begins/ニコール・ズライティス
For Ella 2 /パティ・オースティンFeaturing ゴードン・グッドウィン’ズ ビッグファットバンド

このブログで取り上げてこなかったアルバムを順不同でご紹介しますね。

リオーネル・ルエケは西アフリカ出身、パーカッシブなギターで聴衆を魅了するギタリスト兼ヴォーカリストです。
グレッチェン・パーラトとはセロニアス・モンク・インスティチュート・オブ・ジャズで共に学んでいた仲だったそう。
本作は、これまでも互いのアルバムで客演していた二人のはじめての連名のアルバム。
息の合ったアンサンブルは、アフリカやブラジルなど多国籍なサウンドで、独自のグルーヴを感じることができ、お勧めです。

ジャズへの傾倒著しいパティ・オースティンが"For Ella”をリリースしたのが2002年。
Gordon Goodwin率いるBig Phat Bandと共演する本作“For Ella 2”は、期待を裏切らないゴードンの斬新なアレンジにパティのパワフルな歌唱がベストマッチングです。
どの曲も迫力がありますが、私のお気に入りは‘Get Happy' 。ゴスペル風のアレンジが刺激的です。
このアルバムは配信のみのリリースだそう。

ニコール・ズライティスはNYを拠点に活動しているピアニスト兼ヴォーカリスト。
クリスチャン・マクブライドを共同プロデューサーに迎えたアルバムです。
ほとんどの曲がニコールの作詞・作曲。そんな中、ドビュッシーの曲に彼女が歌詞を書いてアレンジした楽曲がユニーク。
ギラッド・ヘクセルマンのギターもいい。

今回のセシルのアルバムは、フランスの伝承に登場する水の精霊・メリュジーヌの物語を、オリジナルの楽曲と12世紀まで遡る曲に新しい解釈を加えた楽曲を組み合わせて表現している、とのこと。
フランス語を中心に言語が多彩。シャンソン調の曲があったかと思えば、パーカッションがフューチャーされたエキゾチックな曲も。
国籍不明の不思議な世界に迷い込んだ気持ちになります。

2/5追記:グラミー賞はニコール・ズライティスでした。

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posted by ありあ at 23:19| お勧めCD/ミュージシャン

2023年07月28日

ケイティ・ジョージの新譜はDUOアルバム

このブログでもご紹介したカナダ出身のCaity Gyorgy。
この度発売された新譜You're alike,You twoは、同じくカナダ出身の若手ピアニスト、マーク・リマカーとのDUOによるジェローム・カーン作品集です。

1曲目のNobody elese but Meは抜群のswing感。
I'll be Hard to Hundleではちょっとワイルドな感じ。
Pick Your Self Upではエンディングに向かって歌い上げるところが圧巻。。。などなど

スキャットを交えた快適にswingする曲が彼女の持ち味ですが、バラードを歌い上げている曲も美しいです。
マーク・リマカーは、ジャズに限らずジャンルを問わないピアニストだそう。
だからでしょうか、彼女の歌のフレージングにもジャズに留まらない豊かさが感じられます。

1曲だけ収録されている彼女の自作曲のタイトルはThe Bartender。
Cuteなだけではない彼女の才能の奥深さが感じられる曲です。

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posted by ありあ at 17:27| お勧めCD/ミュージシャン

2023年06月06日

ライラ・ビアリのスタンダードアルバム聴いてみました

Laila Bialiというカナダのシンガー/ピアニストによるアルバムYour Requestsが、先月末に日本で先行発売されました。

2019年ジュノー賞最優秀ヴォーカル・アルバムなど、数々の受賞歴がある方ですが、これまでのアルバムは全てオリジナル曲ばかりだったとのこと。
今回は初のスタンダード曲集でGreat American Songbookをテーマにしています。
しかもSNSでファンに呼びかけてリクエストを募った中から、全曲を彼女のアレンジでレコーディング。

彼女の声は素直で歌い方も比較的ストレートなのですが。
バイバイ・ブラックバードや枯葉など、超スタンダードナンバーがどのようなアレンジで新たに生まれ変わっているかが聴きどころです。

多彩なゲストも招かれており、私が特に聞き惚れたのは、大好きなカート・エリングとデュエットしたマイ・ファニー・ヴァレンタイン。
カートの深い声で奏でるエモーショナルなフレージングがぞくぞくします。

このブログでも紹介したケイティ・ジョージとのデュエットもcuteでした。

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posted by ありあ at 22:04| お勧めCD/ミュージシャン

2023年05月04日

才能あふれたケイティ・ジョージのアルバムはお勧め

昨年秋にリリースされたCaity Gyorgyのアルバム“featuring”を紹介し忘れてました。
キュートな歌声の彼女はカナダ出身の24歳。
楽曲ごとに異なるゲストミュージシャンがフィーチャーされた変化に富んだアルバムです。
カナダのグラミーとも言われるJuno Awardを、前作に引き続きこのアルバムでも今年再び受賞しました。

作詞・作曲・アレンジに優れたケイティ。
このアルバムでも全13曲のうち11曲がオリジナルで、バップや超swingするご機嫌な楽曲が目白押しです。
こんなにトリッキーなメロディラインをなんでわざわざ書いたの?!
1曲目からびっくりさせられます。

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特に素晴らしいのはスキャット。
liftadayというアカウントで、ソニー・スティット、チャーリー・パーカー、チェット・ベイカーなどのアドリブパートを彼女が延々とスキャットしているインスタグラムがあるのですが。
彼女の動画を見ていると、ジャズが心の底から好きで、地道にかつ楽しみながらトレーニングを重ねてきたことがよくわかります。

更にお聞きになりたい方には、2021年にリリースされた2枚のアルバムがカップリングされた日本デビュー盤“Portrait of Caity Gyorgy”があります。
このうちオリジナル曲 Secret Safe は2021年度John Lennon Songwriging Contestで最優秀賞に輝いているとのこと。

何度でも聴きたい彼女のアルバム。
聴きながら、私ももっと練習しなくちゃ、という気持ちにさせられます。

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posted by ありあ at 21:39| お勧めCD/ミュージシャン

2023年03月12日

フレッド・ハーシュ&エスペランサ・スポルディングのDUOは必聴

1月に発売されたアルバム“Alive at the Village Vanguard”は、ベースを弾くエスペランサがヴォーカルに専念し、ピアノの詩人フレッド・ハーシュと2018年5月に行ったライブの模様を収録しています。

この二人は初共演の2013年から共演を重ねて来たそうですが、このアルバムはエスペランサがストレートにジャズ・スタンダートを歌った初めてのアルバムとのこと。
3日間にわたって行われた合計6回のステージからベスト・テイクの8曲が収録されています。
パーカーやモンク、フレッドのオリジナル曲など多彩な選曲で二人のインタープレイが見事。

すばらしいのはエスペランサがところどころで即興の歌詞をはさんでいるところです。
ステージごとに違うストーリーを歌っていたそうで驚きます。

1曲目のBut Not For Meから素晴らしかったのですが、収録時間が12分と最も長かったGirl Talkが最も心ひかれました。
時々くすっと笑ってしまう歌詞が歌われていて。。。。。

私の中では早くも今年NO1のアルバムになりそうです。

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posted by ありあ at 11:55| お勧めCD/ミュージシャン

2023年02月07日

エラのライブ・アルバムが新しく出ました

このほど発売された“Live at Montreaux 1969”は、エラ・フィッツジェラルドがモントルー・ジャズ・フェスティバルに初めて出演したときの模様を録音したもの。
2005年にDVDでリリースされていたものが、ユニヴァーサル・ミュージックから世界で初めてこのたびCD化されたそうです。
共演はトミー・フラナガントリオ。

この時のエラの年齢は50代前半ですが、声ののびもドライブ感も絶好調。
ビートルズのHey Jude、クリームのSunshine of Your Love、ディオンヌ・ワーウィックのThis Girl's In Love With Youといったポップスをアレンジした選曲が特徴的。
合計14曲が収録されていますが、この年に発売されたアルバム“Sunshine Of Your Love”の曲が中心になっていました。

必聴なのはこのうちのScat Medley。
One Note SambaやTisket-A-Tasketなどのテーマをはさみながら次々とスキャットしていくのですが、バンドそっちのけでアカペラで延々と歌っていくところも。

どの曲も迫力満点。バラードは限りなく美しく。
オーディエンスを盛り上げるとはどういうことか、とても勉強になりました。
歴史に残る名盤です。

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posted by ありあ at 15:20| お勧めCD/ミュージシャン

シーラ・ジョーダンの最新作は?

昨年発売された“Live at Mezzrow”はNYのライブハウスMezzrowで2021年に録音されました。
パンデミックで多くの店が閉鎖される中、支援者の寄付が必要以上に集まり、「Smalls LIVE Living Masters Series」というシリーズが実現して、その第1作となったのがこちらです。

この時シーラは93歳!
いくつかのアルバムで共演しているピアニストのアラン・ブロードベント、彼女とのDUOアルバムで有名なハーヴィー・Sといった、ドラムレスでの演奏です。
シーラの歌のうちLucky to be me以外は、いずれもこれまでの彼女のリーダーアルバムに収録されている曲でしたが、気心の知れたミュージシャンとの円熟したステージが楽しめます。

驚いたのはそのタイム感覚。
はじめは語るように歌っていても、自然にリズムに乗せてくる。
スキャットも現役そのもの。
いくつになってもその年齢に応じたswingの仕方があるのだ、ということを教えてもらいました。

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posted by ありあ at 14:43| お勧めCD/ミュージシャン

2023年02月02日

今回のグラミー賞ノミネートアルバムは?(続)

ブログで紹介してこなかった2枚のアルバムはこちらです。

カーメン・ランディのFade To Black
彼女の16枚目のアルバムが昨年に引き続いて今回もノミネートされました。
マルチな才能にあふれる彼女は、今回も全11曲の曲作りとアレンジに加え、アルバムのデザインを担当しています。

このアルバムは、パンデミックの最中に亡くなった家族の思い出に捧げられたものだそう。「これらの曲は、この大きな喪失、悲しみ、癒し、そして私たち全員にとってより明るく、より包括的な未来への希望を反映してます」と述べたカーメン。
今回もメッセージ性のある歌詞がつけられています。

彼女の書くメロディー・ラインはソウルフルで、印象的に耳に残ります。
スモーキーで深い声質ともよくあっていて。。。。
ジュリアス・ロドリゲスのピアノ、テレオン・ガリーのドラムスも聴きごたえ有り。
最後から2曲目の Reverence のホーン・アレンジもグルーヴィーです。
オリジナル曲ばかりなので最初はとっつきにくいかもしれませんが、聴くたびに演奏の深さがより味わえるはずです。

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セシル・マクロリン・サリヴァントのGhost Song
これまでに幾度もグラミー受賞の栄誉に輝いているセシル。
今回のアルバムは、名門Nonesuchへの移籍第一弾となる作品です。

今回は亡霊やノスタルジア、憧れをテーマにしているとのこと。
全12曲のうちオリジナルが7曲ですが、カントリー調やミュージカル調だけでなく独特の節回しを持つアイルランドのアカペラ唱法を駆使した曲も。
ハイトーンの歌声が美しいです。
使われている楽器もバンジョー、ピッコロ、教会のパイプオルガンなど多彩。
パーカッション奏者は小川慶太さんでした。

私が好きになったのはObligationという1分半の短い曲
〜罪悪感で交際していたら? それは愛ではなくてプレッシャー〜
といったメッセージを、セシルの歌とピアノトリオの演奏で一気にたたみかけていきます。

授賞式は日本時間の2/6です。受賞するのはどのアルバムでしょうか。

2/6追記 サマラ・ジョイが受賞しました。

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posted by ありあ at 20:14| お勧めCD/ミュージシャン

2023年01月19日

今回のグラミー賞ノミネートは?

新しいアルバムが知りたくて、毎年ノミネートの動向にこの時期注目しています。
今回 Best Jazz Vocal Albumにノミネートされたのはこちら。

Linger Awhile/サマラ・ジョイ
Fifty/ザ・マンハッタントランスファーWith ケルン放送管弦楽団
The Evening : Live At APPARATUS / サ・ベイラー・プロジェクト
Fade To Black/カーメン・ランディ
Ghost Song/セシル・マクロリン・サリヴァント

このうちサマラとマントラのアルバムは、このブログでも取り上げましたので、ここからは残り3枚のアルバムをご紹介します。

まずザ・ベイラー・プロジェクトのThe Evening : Live At APPARATUS
ドラマーのマーカス・ベイラーとボーカリストのジーン・ベイラーのご夫婦によるグループです。
このアルバムには、ナイトクラブに改装されたニューヨークのデザインスタジオ、Apparatus で3夜にわたって行われたライブの模様が録音されています。

全11曲のうち9曲が、これまでにリリースされいずれもグラミーにノミネートされた2枚のアルバムに収録されているおなじみの曲なのですが。
このライブ盤、聴衆の盛り上がりが半端じゃない。いずれもはじめて聴く楽曲のようなのです。

ヴォーカルの聴きどころは、奔放なフレージングでスタンダードナンバーを新鮮に歌っている Our Love is here to Stayや Tenderly、スキャットを交えて盛り上げていくWe sing、といったところでしょうか。

過去にグラミー賞を受賞しているジャズカルテット、イエロージャケッツの元メンバー、マーカスのドラムも圧巻。
Call of the Drumは今回BEST IMPROVISED JAZZ SOLO部門にもノミネートされています。

ミュージシャンの演奏も素晴らしい。
テナー&ソプラスサックスはキース・ロフティス、トランペットはダレン・バレット、ベースは中村恭士さん。
ジャズやゴスペルといった枠を超えたエキサイティングな演奏が楽しめます。

続きは次回に。

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posted by ありあ at 21:52| お勧めCD/ミュージシャン

2022年11月23日

タワンダのデビュー・アルバム 聴きました!

今回ご紹介するTawanda(タワンダ・スースブリッチ・ジョアキム)も2021年の第9回サラ・ヴォーン・インターナショナル・ジャズ・ボーカル・コンペティションに25歳で優勝。
ジョージ・クラビンのプロデュースにより、彼のジャズ・レーベル、レゾナンス・レコードからファースト・アルバム“Smile”がこのほど発売されました。

説得力のあるヴォーカルというのが第一印象。
声の艶やかさ、天性のスウィング感に加えて、ディクションの確かさが際立っているので、何を歌っているのか歌詞が明瞭に聞き取れて、歌の世界がぐいぐいと迫ってくるのです。

力強い歌唱で印象的だったのはI'm Okay。
アルゼンチンのピアニスト、エディ・デル・バリオが作曲し、ダイアン・リーヴスがレコーディングしていた曲です。
ライナーノーツによれば、タワンダは、ダイアン・リーヴスから大きな影響を受けているそうで、この曲についても、強さと誇りを感じさせる、地に足の着いた曲・・・と語っていました。

タワンダはスキャットも自在ですが、彼女の使うシラブルやフレージングの中には、ダイアン・リーヴスを思わせるところも随所に感じられたような。
What a Little Moonlight Can Do や Out of This World といったテンポの早いスタンダード曲がチャレンジングで新鮮でした。

ドイツ生まれの母親とモザンビーク出身の父親のもとで、国際色豊かな音楽を聴いて育った彼女は、進学したサンタフェ芸術デザイン大学でジャズに出会い、解放的なジャズの世界に衝撃を受けたとのこと。

このアルバムを聴いていても、ポジティブな思いを各々の楽曲から感じ取ることができました。
これからの活躍に注目です。

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posted by ありあ at 03:23| お勧めCD/ミュージシャン

2022年11月12日

サマラ・ジョイのメジャー・デビュー・アルバム

弱冠22歳にして圧倒的な歌唱力。
Samara Joyが名門Verveと契約してこのほどリリースしたアルバムLinger A whileを聴きました。

2019年にサラ・ヴォーン・インターナショナル・ジャズ・ボーカル・コンペティションで優勝した彼女。
深いところからの発声はサラを思わせ、ベルベットのような声質は彼女が好きなカーメンのよう。しかも抜群のswing感。

このアルバムには、MistyやSomeone to Watch Over Me、'Round Midnightといったスタンダードナンバーも収録されていますが。
私が最も注目したのはファッツ・ナヴァロのNostalgiaのヴォーカリーズでした。

彼女はニューヨーク州立大学パーチェスカレッジを2021年に卒業しているのですが、インタビュー動画によれば、大学で受講していたジョン・ファディスによるトランスクライブの授業で心引かれたのが、ファッツ・ナバロのメロディアスなソロ。
歌詞をつけるようにとジョンから勧められたのだそうです。

ファッツ・ナバロへの敬意をこめた歌詞が綴られているのですが、のびのびと自然で、惚れ込んだ曲を楽しそうに歌っている様子が声を聴くだけで伝わってくるのです。

共演はパスカーレ・グラッソ(g)、ベン・パターソン(p)、デイヴィッド・ウォン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。

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そんな彼女のファースト・アルバムは、昨年2021年にWHIRLWIND RECORDSというところから出されています。
こちらはギター・トリオとの演奏で、パスカーレのギター、アリ・ローランドのベース、ドラムスはケニー・ワシントン。プロデューサーはマット・ピアソン。
 
StardustやLover Manといった大スタンダードも収録されていますが、私がいいなと思ったのはアップテンポにSWINGする曲。

ギタートリオによる演奏だからでしょうか。1988年生まれ、イタリア出身のパスカーレによる超絶技巧に触発されてか、サマラの歌が気持ちよくノっているのです。
ビリー・ホリデイがゆったりしたテンポで歌っていたLet's Dream In The Moonlightや Everything Happens To Meといった曲のアプローチが新鮮でした。

サマラはスキャットをバリバリ繰り出すわけではないですが、フェイクが抜群にうまい。
これまで多くの偉大なシンガーが歌ってきた曲をより魅力的にしています。
彼女のTikTokも話題だそうで、ジャズ・ヴォーカルの新しい時代を担う逸材に今後とも注目していきたいと思います。

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posted by ありあ at 15:38| お勧めCD/ミュージシャン

2022年11月06日

マントラ50周年記念アルバムが出ました

マンハッタン・トランスファーが結成されてなんと50年になるそうです。
このほど発売されたFIFTYは、全曲がオーケストラ仕様の豪華なアルバム。

メンバーのアラン・ポールが書いたライナーノーツによれば、グループの歴史の中で重要な瞬間を表すような曲や、必ずしもヒット曲ではないけれど自分たちが本当に好きな曲が選ばれたのだそう。

全10曲の中で私が繰り返し聴いているお気に入りは次の3曲。
いずれもアラン・ポールがヴォーカル・アレンジをしている曲になりました。

シングルでも大ヒットしたTwilight Zone / Twilight Toneは、シェリル・ベンティーンが正式加入した1979年のアルバムExtentionsに収録されていた曲です。
オーケストラ用のアレンジでより重厚な雰囲気。
ジェニス・シーゲルのソロボーカルもフェイクが活き活きとしています。

What Goes Around, Comes Aroundはアトランティックからコロンビアに移籍した1991年のアルバムThe Offbeat of Avenuesに収録されていたダンサブルな曲。
こちらはメンバーが全ての曲づくりに携わるようになった最初のアルバムです。

今回はじめて抄録されたのはガーシュインの曲でThe Man I Love。
1945年のアーティ・ショーのバンド演奏での楽器のソロに歌詞をつけたヴォーカリーズのスタイルをとっていますが、これまでアルバムに収録される機会がなかったとのこと。
シェリルの驚異的なハイトーンが必聴です。

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シェリルは1954年生まれ、ジャニスは1952年、アランは1949年!
時が止まったかのよう。年齢を全く感じさせない歌声に脱帽です。
ファイナル・ワールド・ツアーも行われるそうで、来年の日本公演に期待が高まります。

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posted by ありあ at 04:12| お勧めCD/ミュージシャン

2022年07月30日

ご機嫌なヴォーカリーズユニットH.I.Tは必聴!

Jazz vocalが聴きたいな〜と思ったときに、少し前まで私が繰り返し聴いていたのは、かつてこのブログでもご紹介したことがあるランバート・ヘンドリックス&ロス(L,H&R)のアルバムでした。

そして彼らのサウンドをアップデートしたかのようなすばらしいアルバムが、日本からこの5月に発売されました!
TOKUさん、マヤ・ハッチさん、伊藤大輔さんによるユニットH.I.TがリリースしたDiggin' the Soundsです。

1曲目のCharleston Alleyを聴いてその再現度にまずびっくり。
しかしながら聴き進めるうち、L,H&Rのアルバムとは異なる深みを感じました。
アレンジが同じでも声質が異なるので当たり前かもしれませんが。

TOKUさんのカートエリングを思わせるようなハリのある歌声。
彼らを支える迫力あるピアノトリオ(宮川純(p)、楠井五月(b)、二本松義史(ds)の皆さん)の演奏と絡むTOKUさんのフリューゲルホーン 
L,H&Rではアニー・ロス1人がメインヴォーカルだったTwistedのソロパートを3人で分担していたり などなど・・・

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繰り返し聴きたいアルバムと出会えるのは幸せなこと。
ライブがあれば是非聴きにいきたいと思いましたし、この3人のソロアルバムもこの機会にじっくり聴いてみたくなりました。
ということで2011年のアルバムTOKU sings & plays STEVIE WONDER もお勧めしておきますね。

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posted by ありあ at 01:12| お勧めCD/ミュージシャン

2022年03月23日

トニー・ベネットのDuetアルバムLove for Saleから感じたこと

トニー・ベネットのアルバムを積極的に聴いてきたわけではありませんでした。
1970年代半ばにだされたエヴァンスとの共演アルバムや、近年だされていた一連のDuetアルバムをお勉強のために聴いていたくらいで。

高音に至るまで目一杯声を張るタイプの歌唱法やアーティキュレーションが好みではなかったのです。
フレーズ終わりがぶっちりと勢い良く切れるときがあって、もう少しテヌートぎみで終わった方がよりスウィング感が出せるのにと思ったり。。。。

若いときにはそんな風に「元気いっぱい」のイメージで歌っていた彼でしたが、レディー・ガガとデュエットした最新作Love for Saleでは、力が抜けていてのびやかな歌い方が心地よかったです。

印象が変わるのはあたり前ですよね。
アルツハイマーを患った95歳の彼が歌うジャズ。
エヴァンスとのアルバムに収録されていたDream Dancingも、今回の方が低いキーになっていましたが、その分聴いていてゆったりとした気持ちになりました。

高齢になっても自らを高め続け、病に見舞われてもあきらめずに歌い続ける精神。
そして何歳になってもその年齢にみあった歌い方があるのだということを教えてくれたトニー・ベネット。

心を奮い立たせてくれて感謝です。

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posted by ありあ at 16:49| お勧めCD/ミュージシャン

2022年01月22日

シーラ・ジョーダンの初期の音源がアルバムに

ブルーノートから発表された名盤Portrait Of Sheilaの2年前に録音された音源が発掘されました。
先頃リリースされたComes Love: Lost Session 1960。
ピアノトリオをバックに、31歳のシーラの若々しい歌声を聴くことができます。

ミュージシャンの名前が書かれていないのは、あまりにも昔の録音なので彼女自身が共演者を記憶していなかったかららしい。
収録された全11曲は全て間奏なしの歌いっぱなしです。

これまでに出されたアルバムに収録されていた曲も何曲かあるので、聴き比べるのも面白いです。
このアルバムではいずれもキーが高くなっていて、テンポも若干速くなって明るい印象。

シーラの歌は節回しのクセが独特であまり好みではないのよね、と今まで思っていた方にも、伸びやかな歌声が楽しめるこのアルバムはお勧めです!

とはいえ私が最も気に入った曲は、頭からフェイクが大胆なThey can't Take That Away From Me。
シーラ節もしっかり堪能できる必聴盤です。

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posted by ありあ at 02:08| お勧めCD/ミュージシャン

2022年01月16日

2022年のグラミー賞ノミネートは?

新しい動向が知りたくて、毎年ノミネートアルバムを聴くことにしています。
今年も新型コロナの影響で、発表日が延期されることになりました。

今回ベスト・ジャズヴォーカル・アルバムにノミネートされたアーティスト/アルバムタイトルはこちら

カート・エリング&チャーリー・ハンター/SuperBlue
サ・ベイラー・プロジェクト/Generations
ニーナ・フリーロン/Time Traveler
グレッチェン・パーラト/Flor
エスペランサ・スポルディング/Songwrites Apothecary Lab

これまでにブログでご紹介していなかったアルバムは次の2枚です。

The Baylor Projectはヴォーカリストのジャン・ベイラーとドラマーのマーカス・ベイラーの夫婦によるデュオ。
2017年のデビューアルバムThe Journeyもジャズ・ヴォーカル・アルバムとトラディショナルR&Bパフォーマンスの2部門にノミネートされていましたが、今回のアルバムは更にパワーアップしています。

サックス奏者のケニー・ギャレット、ヴォーカリストのジャズメイヤ・ホーンとダイアン・リーブスなど、ゲストが多彩。
「ソウルとジャズの境界線」と評していた記事を目にしましたが、正にそのとおりで、懐かしいソウル・ミュージックのノリを思わせる曲がある一方、Bopフィーリングなスキャット合戦が展開されたり。。。。

最後の曲名“Benediction”は祝祷という意味。
家族や愛をインスピレーションさせる余韻を残したアルバムです。

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Esperanza Spaldingは、2020年の第62回グラミー賞を前作12 Little Spellsで受賞しています。
今回のアルバムは、人々のストレスや悲しみを和らげるために、音楽実験の場「ソングライツ・アポセカリー・ラボ」において、神経科学や音楽療法など多様な分野の専門家との協力で生まれたヒーリング・アルバムだそう。

切れ目なく続く12曲はうち2曲を除いて全て彼女の作。
やわらかな声が自在に羽ばたき、大きなものに身を任せようという気持ちが沸いてくる歌詞がついています。

共演するミュージシャンも多彩で、キューバ出身ドラマーのフランシスコ・メラやアルゼンチン人ピアニストのレオ・ジェノヴェス、トロンボーン奏者のコーリー・キングら。
ウェイン・ショーターの突然のアドリブ炸裂に驚かされたりして、私にはほとんどヒーリング効果が感じられませんでしたが。。。

最後にもう1枚。
過去にこのブログでも紹介したヴォーカリスト、ジャズメイア・ホーンの3作目のアルバム、Dear LoveがBest Large Jazz Ensemble Albumにノミネートされていました。

15人編成のビッグバンドNoble Forceの演奏は全て彼女自身がアレンジ。
Lover come Back to MeやHe's My Guyといったスタンダードナンバーも取り上げられていますが、語りで通す曲があったり、驚異のハイトーンで盛り上げる曲があったり、刺激的なアルバムです。

発表は3月頃になるでしょうか。
どのアルバムが受賞するのか、全く予想できません。

(追記)発表・授賞式が4月3日(日本時間4日)に開かれ、エスペランサ・スポルディングさんのアルバムが受賞しました。

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posted by ありあ at 23:54| お勧めCD/ミュージシャン