2025年03月01日

このほど発売されたエラ・フィッツジェラルドの未発表ライブ・アルバムは?

The Moment Of Truth: Ella At The Coliseumは、1967年にオークランド・コロシアムで、エリントン・オーケストラと共演し、録音されたVerveレコードによるライブ盤。

この時期のエラは、ヴァーヴレコードとの契約を終え、デューク・エリントン・バンドとの共演を重ね、多くの名盤を残しています。
もっともこのアルバムではエリントン自身が演奏に参加していないのが残念なのですが、

合計9曲が収められており、AlfieやMusic To Watch Girls By といった、これまでエラの歌では聴くことがおそらくなかった楽曲や、In a Mellow Toneでのスキャット、最後はお馴染みのMack The Knife ・・・。
観客とのコミュニケーションをとりながらの、リラックスしたライブの盛り上がりが伝わってきます。

音質もいいので、今後名盤になること間違いなしです。

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posted by ありあ at 14:29| お勧めCD/ミュージシャン

2024年12月19日

今年出たケイティ・ジョージの新譜は?

今年のクリスマスに来日するCaity Gyorgy。
1998年生まれのカナダのSingerです。
4枚目のアルバムが8月にリリースされた“Hello, How are you?”
全11曲のうち8曲が彼女のオリジナルですが、いずれも王道のジャズ・ヴォーカルのスタイル!
構成や歌詞がシンプルなのですが、見事にスウイングしているのです。

1曲目のHello, How are you?から軽々としたなスキャットで魅了し
アップテンポなColloquiallyではアニタ・オデイのスタイルを彷彿させる歌唱
スタンダードナンバーのBaubles, Bangles and Beadsは様々なリズムのアレンジで
最後の曲I Don't Mindはご機嫌なブルース、などなど
彼女の歌唱は特にアップテンポの曲が軽やかで聴き応えがあります。

彼女のスキャットやアレンジを聴いていると、もっと私もジャズを歌わなきゃ、という気持ちになります。
共演しているのはAnthony D'Alessandro(pf)、Thomas Hainbuch(bass)Jacob Wutzke(ds)

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posted by ありあ at 14:01| お勧めCD/ミュージシャン

2024年12月06日

今回のグラミー賞ノミネートは?(その2)

先月発表されましたBest Jazz Vocal Albumにノミネートされたアルバムのご紹介、続編です。

キャサリン・ラッセル&ショーン・メイソン(Catherine Russell & Sean Mason)のMy Idealも、ピアノとヴォーカルのDUO。
2017年のグラミー賞にキャサリンの6作目のアルバムHarlem On My Mindがノミネートされたとき、このブログでも既に彼女のことを紹介していたのを思い出しました。
今回収録されているのは初期のジャズの楽曲から1950年代までのもの。
古い曲を独自の解釈で蘇らせているキャサリンの力強い歌唱と、寄り添うメイソンの華やかなストライド・ピアノ。
そんな中でもタイトル曲My Idealのリリカルなピアノが美しくて聴き応えがありました。

クリスティーン・ダシール(Christie Dashiell)の Journey In Black。
ワシントンDC生まれ、ノースカロライナ州育ちのボーカリスト兼作曲家の2ndアルバム。
トップの約9分に及ぶ曲Ancestral Folk Songは、african musicを思わせる壮大な歌唱です。
チェンバー・ミュージックからの助成金を得、ダイアン・リーヴスのアドヴァイスを受けて、このアルバムのレコーディングを行ったとのこと。
彼女がダイアンの影響を強く受けていることが、楽曲からも大いに感じ取れます。
このアルバム、自由、遺産、悲しみ、喜びがテーマだそうで、オリジナル曲も豊富。
以前にインタビュー記事で、私はブラックミュージックを、悲しみや抑圧というレンズを通して見たくはない と語っているのを思い出しました。

ノミネートされた5作のうち、私が最も楽しめて繰り返し聴きたくなったのが、サマラのクリスマスソングアルバムでした。
さてさて受賞の栄誉に輝くのはどなたでしょうか。

2/3追記:受賞の栄誉に輝いたのは、サマラ・ジョイ(Samara Joy) – A Joyful Holiday でした

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posted by ありあ at 19:02| お勧めCD/ミュージシャン

2024年12月05日

今回のグラミー賞ノミネートは?

どうも皆様。新しい動向に触れたくて、毎年この時期はノミネートに注目しています。

先月発表されましたBest Jazz Vocal Albumにノミネートされたのは次のとおり。
・クリスティーン・ダシール(Christie Dashiell) – Journey In Black
・カート・エリング&サリバン・フォートナー(Kurt Elling & Sullivan Fortner) – Wildflowers Vol. 1
・サマラ・ジョイ(Samara Joy) – A Joyful Holiday
・ミルトン・ナシメント&エスペランサ・スポルディング(Milton Nascimento & esperanza spalding )– Milton + esperanza
・キャサリン・ラッセル&ショーン・メイソン(Catherine Russell & Sean Mason) – My Ideal

エスペランサのアルバムはこのブログでも先日ご紹介しましたので、そのほかについて、2回に渡ってご紹介しますね。

サマラ・ジョイはクリスマスソング6曲が収録されたものがノミネート。
うち何曲かは既にシングルとしても発売された曲です。
ピアニストのサリヴァン・フォートナーをフィーチャーした Twinkle Twinkle Little Meはピアノのバッキングが愛らしい。
この曲はBest Jazz Performanceにもノミネートされています。
サリヴァンのハモンドオルガンに合わせて家族がコーラスで参加しているO Holy Nightは「さやかに星はきらめき」の歌い出しで有名な賛美歌。
サマラの高音が際立ちます。
Antonio McLendonとのDuoによるThe Christmas Songはゴスペルとジャズが融合されたテイスト。

カート・エリングが今回ノミネートされた6曲収録のアルバムも、同じくピアニストのサリヴァン・フォートナーとのDUOによるものです。
かつてサリヴァンのアルバムにフィーチャーされていたセシル・マクロリン・サルヴァントも、ノーマ・ウインストンの曲A Wishでカートとデュエットし、可憐な歌声を披露。
ロマンチックな曲調が続いたかと思えば、エリントン・ナンバーのThings Ain’t What They Used to Beをswingyに。
ピアノとのDUOの可能性について教えてくれるこのアルバムは、多様な演奏スタイルで聴く者を魅了するサリバン・フォートナーの功績によるところが大。
ちなみに彼の2枚組アルバムSolo Gameも、Best Jazz Instrumental Albumにノミネートされています。

なおカートはジョーイ・カルデラッツォ(Joey Calderazzo)とのDuoによるWildflowers Vol. 2もリリースしています。
この中にもスタンダートが1曲。swingyなIt's Only a Paper Moon。
Current Affairsでは、エンディングに響き渡る彼のヴァリトンヴォイスのロングトーンが美しい。

第67回グラミー賞の授賞式日本時間2025年2月3日です。

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posted by ありあ at 15:37| お勧めCD/ミュージシャン

2024年12月04日

発掘されたアル・ジャロウのライブ音源は?

WoW! Live Performance at the Childe Harold
1976年リリースのGLOW直後に、ワシントンDCのラジオ曲のために録音されたマスターテープから発掘された音源がアルバムとなってリリースされました。

これまでのアルバムに修得されていた曲が多く、懐かしさがこみ上げてきます。
私のお気に入りは、Shiny Stockingsとジョン・ヘンドリックスの曲Gimme That Wine
Shiny ・・は、時にベースラインを自身の声で奏でたり、スキャットも超絶。
彼がジャズのスタンダードを数多く歌っていた頃のアルバムを繰り返し聴いていたのを思い出しました。
こういう演奏、もっと聴きたかったです。

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posted by ありあ at 18:27| お勧めCD/ミュージシャン

2024年11月09日

サマラ・ジョイの新譜は?

最近聴いた中で印象に残ったアルバムは、このブログでも以前ご紹介したSamara Joy
この秋にVerveからリリースした“Portrate”という、彼女の3枚目のアルバムです。

今回はトランペット奏者のブライアン・リンチがサマラと共同プロデュースに名前を連ねており、
若手ミュージシャンによる4管編成のゴージャスなアレンジが特徴的。
彼女自身が「私はバンドの中で、5番目のホーンであると感じています」と述べており、
そのホーンライクな歌唱がアルバムのコンセプトによくあっていると感じます。
迫力あるハイトーンがあらゆる曲で駆使されている点は、リスナーによって好みが分かれるかもしれませんが。

オリジナルの曲も入っていますが、スタンダードをこれまで大切に歌ってきた彼女らしく、Day By Dayのようなお馴染みの曲も。
私が特に心惹かれた曲は、彼女の深い声質が美しいAutumun Nocturne。

アルバムをリリースしていくにつれ、そのミュージシャンが新たに何をめざし、どんな進化を遂げているのかがわかり、勉強になりました。

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posted by ありあ at 14:42| お勧めCD/ミュージシャン

2024年11月08日

この夏に聴いたブラジル音楽

今年の夏に聴いていたアルバムの紹介をし忘れていました。
はじめにこのブログでもご紹介したカーリン・アリソンのアルバムA Kiss for Brazil。
これまでもボサノヴァ・スタンダード集を出していた彼女ですが、この夏にリリースされたこちらは、ブラジルの歌手で作曲家兼ギタリストのローザ・パッソスと2曲共演しています。
O grande Amorとパッソスの曲Dunas。二人のボーカルの掛け合いがいい雰囲気です。

カーリンのスモーキーでキュートな声はボサノヴァによくあってます。
例えば私の好きなDjavanのFlor de Lis(百合の花)という曲も、悲しい歌詞なのですが、彼女の声だと爽やかな聴き心地。
ポルトガル語で歌ったり、英語の歌詞をつけたり。
言葉が違うとノリ方が違ってくるのですが、英語の歌詞のときの言葉ののせ方が勉強になりました。

続いてはMILTON + ESPERANZA。
ブラジルの伝説的ソングライター、ミルトン・ナシメントとジャズ界が誇るベーシスト&ヴォーカリストのエスペランサ・スポルディングのアルバムです。
プロデュースはエスペランサによるもので、二人の自作曲を中心に、マイケルジャクソンやビートルズ、ウエイン・ショーターの曲なども。
ゲストも多彩で私の好きなダイアンリーブスもマイケルの曲に加わっていました。

ミルトンは今年82歳、エスペランサ40歳。
二人は以前から共演して親交を温めていたそうで、ほっこりあたたかなコラボを聴くことができます。

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2024年02月05日

そしてまたブロッサム・ディアリーを

自分の音楽を真っ直ぐに追求してきたヴォーカリスト&ピアニストのBlossom Dearieについては、このブログでもこれまでに紹介してきましたが。

1966〜70年にロンドンのフォンタナ・レーベルで録音された未発表の音源が彼女の実家で発見され、昨年夏に2枚組のアルバムになって発売されました。
タイトルはFeeling Good Being Me: The Lost And Found London Sessions

国内盤には、彼女の生い立ちや音楽歴が豊富な写真とともに詳しく紹介されているブックレットの日本語訳〜なんと35Pもあります!〜が付いていて、読みながら、あらためて彼女の音楽への思いに心を寄せることができました。

どんな風に作曲をしているのか、なんていうエピソードが入っていたり、音源には「こんな風に演奏したら」みたいにメンバーと打ち合わせしてる声が入っていたり。

特に1枚目の最初に収録されていたRings and Thingsという彼女の自作曲が華麗で素敵でした。

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posted by ありあ at 17:35| お勧めCD/ミュージシャン

カート・エリング SuperBlueの続編は?

私の好きなKurt Ellingが昨年秋にリリースしたアルバム。
(受賞は逃しましたが)2024年のグラミー賞BEST ALTERNATIVE JAZZ ALBUMにノミネートされていたのがSuperblue: The Iridescent Spreeです。
ギタリストのチャーリー・ハンターとの共作。

Popやソウル、ファンクなどジャンルを超えた楽曲ばかり。
聞き終わっても頭からリフが離れないBounce itはドラマー&ソングライターのNate Smithの曲にカートが歌詞をつけています。
ほかにもカートの作詞によるオーネット・コールマンのOnly the Lonely Woman、
ボブ・ドロー作詞作曲のNaugh Number Nine といったところが私のお気に入り。

どの曲もコーリー・フォンヴィルのファンキーなドラムに心揺さぶられます。
ベース/キーボードはマルチなDJハリソン。

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posted by ありあ at 14:00| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月18日

ヴェロニカ・スウィフトはジャンルを超えて力づよく

少し前まで繰り返し聴いていたアルバムが昨年リリースされたヴェロニカ・スウィフトの『Veronica Swift』。
歌手デビュー20周年を迎えた1994年生まれの米国のシンガーです。

ビ・バップスタイルのスキャットも素晴らしいのですが、クイーンの曲やベートーヴェンの月光など、ロックやクラシックといった様々なジャンルの曲がモチーフとなった楽曲が刺激的です。

色々な音楽をただ混ぜ合わせただけではないトランス・ジャンルというコンセプトを掲げたこのアルバム。
それまでジャズしか演奏する機会が与えられていなかったことに対して、こんなことでいいのだろうかとコロナ禍をきっかけとして深く考え、再出発を図ったとのこと。
「今の私の音楽が全て盛り込まれたはじめてのレコード」だそうです。

このアルバムのプロデューサーとなったブライアン・ヴィグリオーネのエッジのきいたドラミングが演奏の迫力を増しています。

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posted by ありあ at 17:11| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月09日

去年の新譜:マリさんえりさん

中本マリさんと大野えりさんは、私がジャズ・ヴォーカルを勉強しはじめたときからアルバムを聴いて刺激を受けていた大好きなヴォーカリストです。
そのお二人が昨年新譜をリリースしています。

中本マリさんのアルバムのタイトルは“MUSE1”
曽根麻央さんをアレンジャーに迎え、マリさんのかつてのオリジナル曲を若手のミュージシャンの方々ととともに新しく蘇らせています。
マリさんは現在76歳。
声のハスキーさに深みがましていて、重厚感のあるサウンドを全体的に感じました。

大野えりさんは松本治氏のアレンジによるエリントン・ナンバーのアルバム“Osamu Matsumoto Duke on the Winds feat.Eri Ohno”に参加しています。
こちらは、木管楽器奏者5人とウッドベースというドラムレスな編成がユニーク。
アンサンブルの斬新なアレンジにとにかく驚かされます。
そこに溶け込んでいるかのようなえりさんの、時に力強く時に甘い歌声。
おもちゃ箱をひっくり返したようなA flower Is a Love Some ThingやスリリングなヴァースのLush Lifeが特に印象に残っています。

円熟したシンガーでなければ表現できない奥深さをそれぞれに感じました。

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posted by ありあ at 00:37| お勧めCD/ミュージシャン

2024年01月07日

今年のグラミー賞ノミネートは?

新しい動向に触れたくて、毎年この時期はノミネートに注目しています。

今回Best Jazz Vocal Albumにノミネートされたアルバムです。
Mélusine/セシル・マクロリン・サリヴァント
Alive at the Village Vanguard/フレッド・ハーシュ&エスペランサ・スポルディング
Lean In/グレッチェン・パーラト&リオーネル・ルエケ
How Love Begins/ニコール・ズライティス
For Ella 2 /パティ・オースティンFeaturing ゴードン・グッドウィン’ズ ビッグファットバンド

このブログで取り上げてこなかったアルバムを順不同でご紹介しますね。

リオーネル・ルエケは西アフリカ出身、パーカッシブなギターで聴衆を魅了するギタリスト兼ヴォーカリストです。
グレッチェン・パーラトとはセロニアス・モンク・インスティチュート・オブ・ジャズで共に学んでいた仲だったそう。
本作は、これまでも互いのアルバムで客演していた二人のはじめての連名のアルバム。
息の合ったアンサンブルは、アフリカやブラジルなど多国籍なサウンドで、独自のグルーヴを感じることができ、お勧めです。

ジャズへの傾倒著しいパティ・オースティンが"For Ella”をリリースしたのが2002年。
Gordon Goodwin率いるBig Phat Bandと共演する本作“For Ella 2”は、期待を裏切らないゴードンの斬新なアレンジにパティのパワフルな歌唱がベストマッチングです。
どの曲も迫力がありますが、私のお気に入りは‘Get Happy' 。ゴスペル風のアレンジが刺激的です。
このアルバムは配信のみのリリースだそう。

ニコール・ズライティスはNYを拠点に活動しているピアニスト兼ヴォーカリスト。
クリスチャン・マクブライドを共同プロデューサーに迎えたアルバムです。
ほとんどの曲がニコールの作詞・作曲。そんな中、ドビュッシーの曲に彼女が歌詞を書いてアレンジした楽曲がユニーク。
ギラッド・ヘクセルマンのギターもいい。

今回のセシルのアルバムは、フランスの伝承に登場する水の精霊・メリュジーヌの物語を、オリジナルの楽曲と12世紀まで遡る曲に新しい解釈を加えた楽曲を組み合わせて表現している、とのこと。
フランス語を中心に言語が多彩。シャンソン調の曲があったかと思えば、パーカッションがフューチャーされたエキゾチックな曲も。
国籍不明の不思議な世界に迷い込んだ気持ちになります。

2/5追記:グラミー賞はニコール・ズライティスでした。

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posted by ありあ at 23:19| お勧めCD/ミュージシャン

2023年07月28日

ケイティ・ジョージの新譜はDUOアルバム

このブログでもご紹介したカナダ出身のCaity Gyorgy。
この度発売された新譜You're alike,You twoは、同じくカナダ出身の若手ピアニスト、マーク・リマカーとのDUOによるジェローム・カーン作品集です。

1曲目のNobody elese but Meは抜群のswing感。
I'll be Hard to Hundleではちょっとワイルドな感じ。
Pick Your Self Upではエンディングに向かって歌い上げるところが圧巻。。。などなど

スキャットを交えた快適にswingする曲が彼女の持ち味ですが、バラードを歌い上げている曲も美しいです。
マーク・リマカーは、ジャズに限らずジャンルを問わないピアニストだそう。
だからでしょうか、彼女の歌のフレージングにもジャズに留まらない豊かさが感じられます。

1曲だけ収録されている彼女の自作曲のタイトルはThe Bartender。
Cuteなだけではない彼女の才能の奥深さが感じられる曲です。

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posted by ありあ at 17:27| お勧めCD/ミュージシャン

2023年06月06日

ライラ・ビアリのスタンダードアルバム聴いてみました

Laila Bialiというカナダのシンガー/ピアニストによるアルバムYour Requestsが、先月末に日本で先行発売されました。

2019年ジュノー賞最優秀ヴォーカル・アルバムなど、数々の受賞歴がある方ですが、これまでのアルバムは全てオリジナル曲ばかりだったとのこと。
今回は初のスタンダード曲集でGreat American Songbookをテーマにしています。
しかもSNSでファンに呼びかけてリクエストを募った中から、全曲を彼女のアレンジでレコーディング。

彼女の声は素直で歌い方も比較的ストレートなのですが。
バイバイ・ブラックバードや枯葉など、超スタンダードナンバーがどのようなアレンジで新たに生まれ変わっているかが聴きどころです。

多彩なゲストも招かれており、私が特に聞き惚れたのは、大好きなカート・エリングとデュエットしたマイ・ファニー・ヴァレンタイン。
カートの深い声で奏でるエモーショナルなフレージングがぞくぞくします。

このブログでも紹介したケイティ・ジョージとのデュエットもcuteでした。

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posted by ありあ at 22:04| お勧めCD/ミュージシャン

2023年05月04日

才能あふれたケイティ・ジョージのアルバムはお勧め

昨年秋にリリースされたCaity Gyorgyのアルバム“featuring”を紹介し忘れてました。
キュートな歌声の彼女はカナダ出身の24歳。
楽曲ごとに異なるゲストミュージシャンがフィーチャーされた変化に富んだアルバムです。
カナダのグラミーとも言われるJuno Awardを、前作に引き続きこのアルバムでも今年再び受賞しました。

作詞・作曲・アレンジに優れたケイティ。
このアルバムでも全13曲のうち11曲がオリジナルで、バップや超swingするご機嫌な楽曲が目白押しです。
こんなにトリッキーなメロディラインをなんでわざわざ書いたの?!
1曲目からびっくりさせられます。

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特に素晴らしいのはスキャット。
liftadayというアカウントで、ソニー・スティット、チャーリー・パーカー、チェット・ベイカーなどのアドリブパートを彼女が延々とスキャットしているインスタグラムがあるのですが。
彼女の動画を見ていると、ジャズが心の底から好きで、地道にかつ楽しみながらトレーニングを重ねてきたことがよくわかります。

更にお聞きになりたい方には、2021年にリリースされた2枚のアルバムがカップリングされた日本デビュー盤“Portrait of Caity Gyorgy”があります。
このうちオリジナル曲 Secret Safe は2021年度John Lennon Songwriging Contestで最優秀賞に輝いているとのこと。

何度でも聴きたい彼女のアルバム。
聴きながら、私ももっと練習しなくちゃ、という気持ちにさせられます。

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posted by ありあ at 21:39| お勧めCD/ミュージシャン

2023年03月12日

フレッド・ハーシュ&エスペランサ・スポルディングのDUOは必聴

1月に発売されたアルバム“Alive at the Village Vanguard”は、ベースを弾くエスペランサがヴォーカルに専念し、ピアノの詩人フレッド・ハーシュと2018年5月に行ったライブの模様を収録しています。

この二人は初共演の2013年から共演を重ねて来たそうですが、このアルバムはエスペランサがストレートにジャズ・スタンダートを歌った初めてのアルバムとのこと。
3日間にわたって行われた合計6回のステージからベスト・テイクの8曲が収録されています。
パーカーやモンク、フレッドのオリジナル曲など多彩な選曲で二人のインタープレイが見事。

すばらしいのはエスペランサがところどころで即興の歌詞をはさんでいるところです。
ステージごとに違うストーリーを歌っていたそうで驚きます。

1曲目のBut Not For Meから素晴らしかったのですが、収録時間が12分と最も長かったGirl Talkが最も心ひかれました。
時々くすっと笑ってしまう歌詞が歌われていて。。。。。

私の中では早くも今年NO1のアルバムになりそうです。

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posted by ありあ at 11:55| お勧めCD/ミュージシャン

2023年02月07日

エラのライブ・アルバムが新しく出ました

このほど発売された“Live at Montreaux 1969”は、エラ・フィッツジェラルドがモントルー・ジャズ・フェスティバルに初めて出演したときの模様を録音したもの。
2005年にDVDでリリースされていたものが、ユニヴァーサル・ミュージックから世界で初めてこのたびCD化されたそうです。
共演はトミー・フラナガントリオ。

この時のエラの年齢は50代前半ですが、声ののびもドライブ感も絶好調。
ビートルズのHey Jude、クリームのSunshine of Your Love、ディオンヌ・ワーウィックのThis Girl's In Love With Youといったポップスをアレンジした選曲が特徴的。
合計14曲が収録されていますが、この年に発売されたアルバム“Sunshine Of Your Love”の曲が中心になっていました。

必聴なのはこのうちのScat Medley。
One Note SambaやTisket-A-Tasketなどのテーマをはさみながら次々とスキャットしていくのですが、バンドそっちのけでアカペラで延々と歌っていくところも。

どの曲も迫力満点。バラードは限りなく美しく。
オーディエンスを盛り上げるとはどういうことか、とても勉強になりました。
歴史に残る名盤です。

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posted by ありあ at 15:20| お勧めCD/ミュージシャン

シーラ・ジョーダンの最新作は?

昨年発売された“Live at Mezzrow”はNYのライブハウスMezzrowで2021年に録音されました。
パンデミックで多くの店が閉鎖される中、支援者の寄付が必要以上に集まり、「Smalls LIVE Living Masters Series」というシリーズが実現して、その第1作となったのがこちらです。

この時シーラは93歳!
いくつかのアルバムで共演しているピアニストのアラン・ブロードベント、彼女とのDUOアルバムで有名なハーヴィー・Sといった、ドラムレスでの演奏です。
シーラの歌のうちLucky to be me以外は、いずれもこれまでの彼女のリーダーアルバムに収録されている曲でしたが、気心の知れたミュージシャンとの円熟したステージが楽しめます。

驚いたのはそのタイム感覚。
はじめは語るように歌っていても、自然にリズムに乗せてくる。
スキャットも現役そのもの。
いくつになってもその年齢に応じたswingの仕方があるのだ、ということを教えてもらいました。

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posted by ありあ at 14:43| お勧めCD/ミュージシャン

2023年02月02日

今回のグラミー賞ノミネートアルバムは?(続)

ブログで紹介してこなかった2枚のアルバムはこちらです。

カーメン・ランディのFade To Black
彼女の16枚目のアルバムが昨年に引き続いて今回もノミネートされました。
マルチな才能にあふれる彼女は、今回も全11曲の曲作りとアレンジに加え、アルバムのデザインを担当しています。

このアルバムは、パンデミックの最中に亡くなった家族の思い出に捧げられたものだそう。「これらの曲は、この大きな喪失、悲しみ、癒し、そして私たち全員にとってより明るく、より包括的な未来への希望を反映してます」と述べたカーメン。
今回もメッセージ性のある歌詞がつけられています。

彼女の書くメロディー・ラインはソウルフルで、印象的に耳に残ります。
スモーキーで深い声質ともよくあっていて。。。。
ジュリアス・ロドリゲスのピアノ、テレオン・ガリーのドラムスも聴きごたえ有り。
最後から2曲目の Reverence のホーン・アレンジもグルーヴィーです。
オリジナル曲ばかりなので最初はとっつきにくいかもしれませんが、聴くたびに演奏の深さがより味わえるはずです。

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セシル・マクロリン・サリヴァントのGhost Song
これまでに幾度もグラミー受賞の栄誉に輝いているセシル。
今回のアルバムは、名門Nonesuchへの移籍第一弾となる作品です。

今回は亡霊やノスタルジア、憧れをテーマにしているとのこと。
全12曲のうちオリジナルが7曲ですが、カントリー調やミュージカル調だけでなく独特の節回しを持つアイルランドのアカペラ唱法を駆使した曲も。
ハイトーンの歌声が美しいです。
使われている楽器もバンジョー、ピッコロ、教会のパイプオルガンなど多彩。
パーカッション奏者は小川慶太さんでした。

私が好きになったのはObligationという1分半の短い曲
〜罪悪感で交際していたら? それは愛ではなくてプレッシャー〜
といったメッセージを、セシルの歌とピアノトリオの演奏で一気にたたみかけていきます。

授賞式は日本時間の2/6です。受賞するのはどのアルバムでしょうか。

2/6追記 サマラ・ジョイが受賞しました。

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posted by ありあ at 20:14| お勧めCD/ミュージシャン

2023年01月19日

今回のグラミー賞ノミネートは?

新しいアルバムが知りたくて、毎年ノミネートの動向にこの時期注目しています。
今回 Best Jazz Vocal Albumにノミネートされたのはこちら。

Linger Awhile/サマラ・ジョイ
Fifty/ザ・マンハッタントランスファーWith ケルン放送管弦楽団
The Evening : Live At APPARATUS / サ・ベイラー・プロジェクト
Fade To Black/カーメン・ランディ
Ghost Song/セシル・マクロリン・サリヴァント

このうちサマラとマントラのアルバムは、このブログでも取り上げましたので、ここからは残り3枚のアルバムをご紹介します。

まずザ・ベイラー・プロジェクトのThe Evening : Live At APPARATUS
ドラマーのマーカス・ベイラーとボーカリストのジーン・ベイラーのご夫婦によるグループです。
このアルバムには、ナイトクラブに改装されたニューヨークのデザインスタジオ、Apparatus で3夜にわたって行われたライブの模様が録音されています。

全11曲のうち9曲が、これまでにリリースされいずれもグラミーにノミネートされた2枚のアルバムに収録されているおなじみの曲なのですが。
このライブ盤、聴衆の盛り上がりが半端じゃない。いずれもはじめて聴く楽曲のようなのです。

ヴォーカルの聴きどころは、奔放なフレージングでスタンダードナンバーを新鮮に歌っている Our Love is here to Stayや Tenderly、スキャットを交えて盛り上げていくWe sing、といったところでしょうか。

過去にグラミー賞を受賞しているジャズカルテット、イエロージャケッツの元メンバー、マーカスのドラムも圧巻。
Call of the Drumは今回BEST IMPROVISED JAZZ SOLO部門にもノミネートされています。

ミュージシャンの演奏も素晴らしい。
テナー&ソプラスサックスはキース・ロフティス、トランペットはダレン・バレット、ベースは中村恭士さん。
ジャズやゴスペルといった枠を超えたエキサイティングな演奏が楽しめます。

続きは次回に。

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posted by ありあ at 21:52| お勧めCD/ミュージシャン