2021年07月13日

洗練されたcuteな歌声:ブロッサム・ディアリー〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(20)

ニューヨーク生まれのBlossom Dearie(1924年生-2009年没)はピアノの弾き語りが素晴らしい。
彼女のソロ・ヴォーカルアルバムでCD化されたものをコレクションし、年代順に聴いてみましたので、お勧めをご紹介します。

彼女は声が可憐なことで有名ですが、それだけではありません。
澄み切った声が見事にコントロールされていて。
繊細な表現にぞくぞくさせられます。

ヴァーブレコートから出された初期のアルバム“Blossom Dearie”(1957年)や“Once Upon a Summertime”(1958年)が名盤とされていますが、聴き応えがあるのはそれより後の時代のライブ盤ではないでしょうか。

“Sweet Blossom Dearie”(1967年)は、彼女のピアノによるトリオで、ジャズクラブ、ロニースコッツでのライブ録音。
Peel Me a Grape、You Turn Me On Baby、Big City's for Me、彼女のオリジナルSweet Georgie Fameなど。
知られたスタンダードではないけれど、レパートリーにしたい魅力的な曲がたくさん収録されています。
自分の個性を活かせる選曲が巧みです。

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“Winchester in Apple Blossom Time ”(1977年)は、1曲のみロン・カーターとのデュオですが、残りは全て一人でピアノの弾き語り。
ぴんと張り詰めた空気の中で、大切な宝物をそっと手渡されたようなイメージの演奏。
ピアノのヴォイシングの美しさが際立ちます。

ベースとのDUOを堪能したい方は“Me and Phill”。
1993年のメルボルンでのライブ収録で、フィリップ・スコージーのベースが彼女のピアノにアクセントを添えています。

自分の好きな作品を録音したいと、彼女は49歳の時に、自身のインディーズ・レーベルDAFFODIL RECORDSを立ち上げました。
ブラジルの雰囲気にあふれた新たなアプローチのアルバム“Blossom's Planet”をリリースしたのは76歳の時。
私にとっての「ブロッサム・ディアリー」はストイックなジャズ・ミュージシャンというイメージです。

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posted by ありあ at 22:49| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2021年06月04日

哀愁漂う等身大の魅力:カーティス・スタイガース〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(19)

アイダホ生まれのCurtis Stigers は今年55歳のテナーサックス奏者。
90年代にはロックシンガーとしてヒットチャートを賑わせていたそうですが、2001年のアルバムからジャズに転向し、現在に至っています。

今回、彼の全リーダーアルバムを年代順に聴いてみたのですが、90年代の彼の歌が私には無機質に聞こえてしまって・・・。

哀愁漂う枯れた声でエモーショナルに歌う彼の魅力が、ジャズミュージシャンとの共演で生き生きと表現されているのです。
以後多くのアルバムで共演し、アルバムのプロデュースを共に担っているのが、ジャズ・ピアニストでありオルガン奏者のラリー・ゴールディングス 。

Concord Jazzから出された最初のジャズヴォーカル・アルバム“Baby Plays Around”の選曲はスタンダードだけでなくjazz tuneが豊富で、scatも見事。
チェットベーカーの持ち歌も多く収録されていますが、チェットの歌よりもダイナミクスが効いていて表現力が豊かです。

彼の歌うビートルズのI Feel Fineがいい味を出していると、以前にこのブログでご紹介しましたが、この曲が入っているアルバムが2003年の“You Inspire Me”。
どの曲もアレンジが魅力的です。
例えばスタンダード曲のI fall in love too easily。
短い曲なのでどんな風にアレンジしようか、私などいつも迷うのですが、このアルバムでは演奏時間が全収録曲の中で最も長い8分30秒!

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昨年リリースされたアルバム”Gentleman”は、オリジナル曲が多いのですが、ラリーのピアノにあわせた彼の歌は、物語を語っているよう。
歌詞をしっかり聴き取りながら味わうと、55歳の大人の男性が抱く等身大の思いが、陰影のある歌声で迫ってきます。
この中で私が好きな曲は、5拍子のHere we go again。

彼のHPでは、今のご時世だからなのか、キッチンで歌うというコンセプトで定期的に配信をしていました。
ギターを抱える彼の脇で3匹のわんちゃんたちがはしゃいでいる飾り気のなさに心が和みました。

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posted by ありあ at 02:39| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2021年05月20日

歌唱力抜群のピアニスト:ディナ・デローズ〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(18)

ニューヨーク生まれのDena DeRoseは今年55歳。
ジャズ・ピアニストとしてそのキャリアをスタートさせましたが、手の故障によりピアノが弾けなくなった時期があり、勧められてヴォーカルを始めたそうです。
回復した今ではピアニスト兼ヴォーカリストだけでなく、オーストリアの大学でジャズヴォーカルを教える教育者としても活躍しています。

彼女の歌の特色は、自身が奏でるピアノのフレーズとのユニゾンによる巧みなスキャット。
はじめて聞いた時、使っていたシラブルがチェット・ベイカーのように軽やかだったのが新鮮でした。
弾き語りなので、歌の合間のバッキングのタイミングも絶妙。

ヴォーカリストとしての全リーダーアルバムを年代順に聴いたので、お勧めをご紹介しますね。

デビューアルバムが出されたのは1998年ですが、初期のアルバムはスタンダードが多く選曲されていて、楽器奏者ならではのセンスにあふれたアレンジが勉強になります。
私のお気に入りは2000年のアルバム“I Can See Clearly Now ”。
2007年の“Live at Jazz Standard, Vol. 1”は、ライブならではの迫力ある演奏が楽しめます。

弾き語りで有名なヴォーカリスト、シャーリー・ホーンの名曲を集めた2014年のアルバム“We Won't Forget You: An Homage to Shirley Horn”ではシャーリーの歌と聴き比べてみました。
バラードではシャーリーの重厚な表現が圧巻ですが、swingyな曲では勢いのあるディナの歌に心惹かれました。
それぞれの個性が楽曲に生かされているのがわかります。

最後のお勧めアルバムは昨年出された“Ode To The Road”
メンバーは2004年のアルバムから共演している Martin Wind(b)とMatt Wilson(ds)。
Houston Person(ts)とJeremy Pelt(tp)に加えてシーラ・ジョーダンが参加し、ディナと2曲デュエットしているのが必聴。
私の好きなマーク・マーフィーやボブ・ドローの曲も複数取り上げられていて、ディナがどんなヴォーカリストから影響を受けていたのかがよくわかります。

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ライナーノーツの中で彼女は、「私はインプロヴァイズが好きだけれど、メロディの音をずっと変えていると、人の耳はそちらに行ってしまい、ストーリーを見失ってしまいます」と述べていました。
楽器奏者ならではのジャズ・フィーリングにあふれたフレージングは、ヴォーカリストとしての歌心によって洗練され、より魅力的なものになっているのだと思いました。

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posted by ありあ at 07:12| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2021年04月08日

歌唱力抜群・遅咲きの歌姫:ニーナ・フリーロン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(17)

話題になったヴォーカリストのアルバムはきっちり聴いておこうと思い、グラミー賞のジャズ・ボーカルアルバムにノミネートされた作品を、年代順に聴いていた時期がありました。
その中でお気に入りになったのがNnenna Freelon。1954年生まれの今年66才です。

エリス・マルサリスに見いだされて30代後半でデビューCDをリリースした後は、精力的にリーダーアルバムを出しており、ジャズ・ボーカル・パフォーマンスの部門も含めて過去に4回ほどグラミー賞にノミネートされています。

たっぷりとした発声、艶とハリのある声によるダイナミクスが見事。
サラ・ヴォーンを思わせるホーンライクなスキャットやフェイクも魅力です。

今回も全てのアルバムを取り寄せて年代順に聴いてみました。
選曲は多彩でオリジナル曲もありますが、スタンダード・ナンバーを彼女自身がどんなアレンジで演奏しているのかが興味深かったので、お勧めアルバムもスタンダードが多く収録されたアルバムになりました。

1996年の“Shaking Free”はコンコード移籍後最初のアルバム。
ミュージシャンはBill Anschell(p) John Brown (b) Woody Williams(ds)にRickey Woodard(ts,ss)やScott Sawyer(g)が加わっています。

タイトル曲はオリジナルですが、迫力満点のOut of This World、swingyなI Thought About You、ファンキーなNature Boyやディジー・ガレスピーのBirk's Worksなど、ノリのいい曲が多いアルバム。

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2010年の“Home free"もスタンダ−ドの選曲が多く、そのほかにスティビー・ワンダーやビリー・ホリデイのトリビュートアルバムも出ています。
わざわざこんなアレンジにしなくてもいいのに・・と思う曲もなくはないですが、豊かな声量と歌唱力があるからこそ発揮できる個性なんだろうなと聴きながら思いました。

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posted by ありあ at 03:07| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2020年12月21日

アニタ・オデイのクリスマスソング集

Have A Merry Christmas With Anita O'Day
こちらは、70年代のアニタがピアノトリオと演奏している曲を集めたクリスマスソング集。
耳慣れたはずの曲なのに、どれもアニタ節が冴えわたって新しい発見ができます。

ジングル・ベルはご機嫌なswingで。
メル・トーメの曲、クリスマス・ソングは、1943年のジーン・クルーパ楽団専属シンガー時代のライブ演奏も収録されているので、30年後のアニタの歌との聴き比べが楽しめます。

気が重い年末ですが、聴いているだけで心が晴れやかになって来るアルバムです。

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posted by ありあ at 19:18| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年10月19日

自由なインタープレイによる独特の世界観:シーラ・ジョーダン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(16)

1928年生まれのSheila Jordan は来月で89歳。
大江千里さんのアルバムに参加していたのを、以前にこのブログでも紹介しましたが。。。。

webを見たらこれからのライブの予定がたくさん入っているのを発見! 
まだまだ現役なんですね。
今回も手に入る限りのアルバムを年代順に聴いて、お勧めをピックアップしていきます。

チャーリー・パーカーに認められてニューヨークに進出したシーラ。
バップのミュージシャンの中でキャリアを積み、楽器奏者のようにコード進行に即したインプロヴィゼーションを展開するヴォーカリストだと言われていますが。
cuteな声で繰り出すフレージングは、彼女独特の個性に溢れたものになっています。

初リーダー作“Portrait of Sheila”を吹き込んだのは32歳の時でしたし、2作目のアルバムを日本でリリースしたのが、その13年後。
苦労しながらも独自のアプローチを切り拓き、今なお年齢を感じさせずに第一線で活躍している一途な姿に心惹かれます。

デビュー作を名盤としてお勧めする方も多いのですが、学生時代に私が良く聴いていたのが2作目のアルバム、1975年の“Confirmation”。
パーカーを敬愛していたシーラがConfirmationをどう歌うのか興味深かったですし。
God Bless The Child、My Favorite Thingsといったスタンダードの自由な歌い方や、それらを次々とメドレーで続けていくアルバムの構成が新鮮でした。

ミュージシャンの演奏もシーラの自由なアプローチにぴったりあっていて。
ピアノはアラン・パスクア(Alan Pasqua)、ベースがキャメロン・ブラウン(Cameron Brown)、ドラムがビーヴァー・ハリス (Beaver Harris)、テナーサックスが ノーマン・マーネル(Norman Marnell)。

シーラはベーシストとのDUOのアルバムが多いのが特徴的。
ほかの楽器では得られないテクスチュアやグルーブが生み出されると感じているかららしいです。

お勧めはハーヴィー・シュワルツ(Harvie Swartz)とのDUOによる“The Very Thought Of Two”。
1988年の日本初来日時のライブの模様を収録しており、彼女のライブ録音はこれがはじめてだとか。

アルバムのタイトルが洒落てます。
ほかにもI've Grown Accustomed To The Bassなんていう曲名をDUOアルバムのタイトルにしていたり。
(原曲のタイトルはbassではなくてface)

ハーヴィーとは79年のアルバム“Playground”で共演したスティーブ・キューン・カルテットで知り合い、その後も多くのアルバムで共演しています。
ライブなのでスタンダード・ナンバーの自由度が半端じゃないですし、二人の息もぴったり。

インタープレイが得意なシーラのアルバムは、やっぱりライブ盤がお勧めです。
ハーヴィーとピアノのアラン・ブロードベント(Alan Broadbent)と共演した“Better Than Anything”は、1991年の録音。
彼女が何度も吹き込んでいるお馴染みの曲が満載ですが、リラックスしたライブならではの自由なパフォーマンスを楽しめます。

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彼女のライブ、残念ながら聴きにいったことがないのですが、これから機会に恵まれるでしょうか。

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posted by ありあ at 15:47| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年08月31日

華麗なスキャットとヴォーカリーズ:アニタ・ワーデル〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(15)

Anita Wardellは1961年生まれ、英国出身のオーストラリア育ちです。
声がとてもcuteで、こんなところまで出るの?!と驚くくらいに声域が広い。
その魅力的な声で、スキャットやヴォーカリーズ(ジャズ・ミュージシャンが演奏したスタンダード曲のアドリブパートにそのまま歌詞をつけて歌うこと)を軽々こなしていくのです。

ジャズ・ヴォーカルファンなら心奪われること間違いなしの彼女がリリースした7枚のアルバムから、お勧めをピックアップしました。

1997年にリリースされた“Why Do You Cry”は、ピアニストLiam Nobleとのデュオ。
私が大好きなマーク・マーフィーとノーマ・ウィンストンが推薦の言葉を寄せていました。

ゆったりと歌うI've Never Been in Love Beforeではチェット・ベイカーを思わせるけだるい雰囲気のフレーズとシラブル(発音)でスキャットしているのですが。
Twistedのようなアップテンポの曲が圧巻。
ピアノとのデュオはこうでなくちゃ・・と思わせるインタ−プレイも随所で発揮されています。

2006年のアルバム“Noted”はよく知られた選曲で楽しめます。
Moaninではリー・モーガンのソロをヴォーカリーズ。
Watermelon ManやSidewinderといったファンキーな曲も。
この年に彼女はBBC Jazz AwardsのBest of Jazzを受賞しています。

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彼女のアルバムを聴いていると、この曲をこんなリズムやアレンジでやるんだ〜という新鮮な発見がありますし。
マーク・マーフイーは、クリアで正確な彼女のbop signingもさることながら、情感がこもったバラードに心打たれたと書いていました。

日本ではファンの方が少ないかもしれませんが、様々な角度からのジャズ・ヴォーカルの魅力にあふれた素晴らしいヴォーカリストだと思います。

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posted by ありあ at 00:19| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年07月24日

歌のうまさが際立つ実力派:ヴァネッサ・ルービン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(14)

Vanessa Rubin は1957年生まれで今年60歳。
最初のアルバムSoul Eyesをリリースしたのが1992年、35歳の時でした。
レコーディングのスタートは遅かったようですが、多くの著名ミュージシャンと共演し、作詞・作曲も手がける実力派です。

歌い方が自然でピッチも正確。
コンテンポラリーな楽曲もさらりと歌いこなし、どのアルバムでも歌のうまさが際立っています。
年代順にアルバムを聴いてピックアップしたお勧めはこちら。

はじめに1993年にリリースされた2作目のアルバム“Pastiche”。
スタンダードとJazz tuneによる選曲です。
フランク・フォスターのSimoneとダグ・カーンのArise and Shineでは、彼女の歌の実力が再認識できましたし、In A Sentimental Moodのアレンジもおもしろかった。

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最近のアルバムでは2013年にリリースされた“Full Circle”。
サックス奏者であり、作曲、編曲も手がけるドン・ブレイデン(Don Braden)との共作です。

ギタリストの デイヴ・ストライカー(Dave Stryker)や、ドンのリーダーアルバムにも参加しているハモンド・オルガンのカイル・コーラー(Kyle Koehler)が共演しており、vocalアルバムというより、Jazzミュージシャンの演奏の中に、ヴァネッサの歌が自然に溶け込んでいる感じ。

ドンやヴァネッサのオリジナル曲があったり、タッド・ダメロンのReveries do come trueという曲にヴェネッサが詩をつけていたりといった多彩な選曲。
Jazzファンの方に十分に楽しんでいただけるアルバムです。

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posted by ありあ at 01:30| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年07月03日

アーティストとしての多彩な才能:カーメン・ランディ〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(13)

先日までJazz weekのチャートに新譜の“Code Noir”がランキングしていたこともあって、しばらく前からCarmen Lundyを聴いていました。
1955年生まれの女性vocalist。
作曲やアレンジだけでなくアルバムでは様々な楽器も担当。
女優や画家としても有名らしく、アルバムジャケットに印刷されていた絵画が彼女の作品だったり。

1985年の初アルバムから始まって、年代順に全アルバムを聴きながらお勧めをピックアップしてみました。
年齢を重ねるにつれ、発声の仕方が変わっているようで、私が好みなのは、ハスキーで力が入っていない歌い方が魅力的な初期のアルバムなのですが。

作品としての充実度で選ぶなら2001年の“This Is Carmen Lundy”。
全曲オリジナル、アレンジも彼女自身で、というアルバムは色々あるのですが。
ラテンのリズムのAll Day, All Nightや、インストで演奏してもばっちり決まりそうなBetter Luck Next Timeなど。
彼女のオリジナルは、はじめて聴く曲なのに耳に残って、かっこいいな、私もレパートリーにしたいな、という曲が少なくないように思います。

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スタンダードも聴いてみたいという方には1994年録音の“Self Portrait”。
ピアノのシダー・ウォルトンやテナーのアーニー・ワッツが参加しているアルバムです。
アレンジがユニークなMy Favorite Things やストリングスをバックにゴージャスに歌うRound Midnightといったスタンダートナンバーとオリジナルで構成されている変化に富んだ内容です。

オリジナルで個性を発揮すること。
Jazz vocalistの表現方法として憧れます。

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posted by ありあ at 21:52| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年06月19日

ハイトーンのシャウトが圧巻:ダイアン・シュ-ア〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(12)

前回ダイアン・リーヴスを紹介しましたので、今回は「ダイアン」繋がりでDiane Schuurをご紹介しましょう。
1953年生まれの63歳。

1985年の斑尾ジャズ・フェスティバルに初来日したときの感動は今でも忘れません。
生まれてすぐに視力を失った彼女。
ステージの中央まで手を引かれて登場し、かわいく何度もお辞儀をしたあとに、ピアノの前に座って歌った声量の豊かなこと!
その後1986年、1987年と2年続けてグラミー賞に輝いています。

今回は初来日前年に出されて話題になった"Deedles"から、現在までの全てのアルバムを年代順に聴いて、お勧めをピックアップしてみました。

初期のアルバムやブルース・フィーリングがある曲を聴いていた時に、ダイナ・ワシントンやナンシー・ウイルソンが好きな方にダイアンはお勧めだな〜とふと思いました。

調べてみると、教会の聖歌隊でゴスペルを歌っていたり、ダイナ・ワシンントンの影響を受けていたということがわかり、やっぱりそうだったか・・・と納得した次第。
歌い回しのフレージングに似た部分が感じられたのですが、発声が黒人シンガーと異なっていて高音のファルセットが美しく、彼女ならではの個性に溢れています。
当初はカントリー・ウエスタンの曲を歌っていたこともあって、カントリー調の選曲が多いアルバムもあります。

バラエティに富んだアルバムの中で、彼女らしい歌が聴けるのがこちら。
1987年にグラミー賞を獲得した“Diane Schuur and the Count Basie Orchestra”。
ダイナミックなベイシー・オーケストラとの共演で、彼女の歌の華やかさが一層際立っていますし、ライブならではの白熱した演奏が楽しめます。
I Loves You, Porgy のようなバラードも美しい。

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ゴスペルを歌っていた影響があるかもしれませんが、3オクターブ以上出せる豊かな声域の彼女は、ハイトーンを活かしたシャウトが特徴的。

そんな彼女らしい歌を堪能できる次のお勧めは、トランペッターのメイナード・ファーガソンとの2001年の共作“Swingin' For Schuur”。
彼が率いるビッグ・バンドBig Bop Nouveau との共演によるスタンダード集です。
ハイノート・ヒッター(超高音域の演奏)で有名なメイナードの演奏と刺激しあって繰り出されるダイアンの歌が刺激的。
アレンジも興味深いです。

昨年来日したそうで、私は行きそびれましたが、次の来日を心待ちにしたいと思います。

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posted by ありあ at 17:26| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年05月26日

伸びやかな声が魅力の変貌自在なヴォーカリスト:ダイアン・リーヴス〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(11)

この度Dianne Reevesが来日することに。
私も5月31日(水)にブルーノートへ聴きに行ってまいります。
ということでここ数日、お勧めCDのご紹介準備も兼ねて、彼女のCDを聴きこんでいました。

通算5度のグラミー賞に輝く彼女は、1956年生まれの今年61才。
全てのアルバムを聴いてお勧めをご紹介したかったのですが、'87年にブルーノート・レコードからメジャー・デビューした以前の作品は手もとになくて、カバーできませんでした。

繰り返し聴いて愛聴盤にしたいと思ったのは、'87年の“Dianne Reeves”。
フュージョン色が濃いアルバムですが、今聴いても大いに楽しめたのは、かつて何度も聴いていたアルバムで懐かしかったから、という理由だけではないような気がしました。

ミュージシャンの素晴らしい演奏と一体になって天空を駆けるような彼女の歌声。
Harvest TimeやChan's Song といったハービー・ハンコックの曲が選曲されていて、彼もゲスト・アーティストとして録音に加わっています。
スタンダードのYesterdaysやI Got It Bad And That Ain't Goodも聴きごたえがありましたが、トニー・ウイリアムスや、フレディ・ハバード、スタンリー・クラークが加わっていました。

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ダイアン・リーヴスというと、このアルバムのように広い音域を自在に駆使したり、アフリカ音楽がルーツに感じられるような自由なフレージングを操るというイメージがあったのですが。
最近のアルバムでは、オーソドックスな歌い方のものが少なくない印象でした。

私がいいな♪と思ったのは、2002年に録音されたスタンダード・アルバム“A Little Moonlight”
3作連続で4度目のグラミー賞“ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム”部門を受賞した作品です。

スモール・コンボをバックに、原曲のメロディーラインを大切に歌っており、スキャットも力が入らず自然な流れ。
トランペットのニコラス・ペイトンとの掛け合いが美しいYou Go To My Head。
ギターのホメロ・ルバンボとしっとり歌い上げるDarn That Dreamなど名唱ぞろい。
セロニアス・モンクの曲にジョン・ヘンドリックスが歌詞をつけたReflectinosといった曲も。

今回の来日公演のメンバーにも、このアルバムのピアニスト、ピーター・マーティンやホメロ・ルバンボが参加するようです。

今回年代順に一通りアルバムを聴いて、ダイアン・リーヴスに対する私のイメージがかなり変わりました。
自在に変貌するヴォーカリストの来週の公演が楽しみです。

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posted by ありあ at 03:19| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年04月08日

追悼アル・ジャロウ:お勧めジャズ・アルバムは?

2月12日に76才で亡くなられたアル・ジャロウ氏。
1980年の‘This Time’に収録されたSpainや、1977年のライブ盤‘Look to the Rainbow’に収録されたTake Fiveといった名演が有名ですよね。

今回追悼の気持ちを込めて、彼の全アルバムを年代順に集めて聴いてみました。
3部門でグラミー賞を獲得しているだけあって、popsやフュージョン系のアルバムが少なくなく、全てを聴いたことがなかったのですが。
それらの中からジャズ・ファンの方にも楽しんでいただけるものをピックアップしてみました。

お気に入りでかつて何度も繰り返し聴いていたのが‘1965'。
デビュー前の1965年にピアノ・トリオと録音した未発表音源が1982年にリリースされています。
My Favorite ThingsやA Sleepin' Bee、The Masquerade Is Overなど抜群のノリ。
ライブを始める前のお勉強中だった頃の私のお手本になっていたアルバムです。
当時彼が大学生だったというのが恐ろしい。。。

2004年の'Accentuate the Positive'はミュージシャンが豪華なジャズ・アルバム。
ラリー・ウィリアムス(p)、クリスチャン・マクブライド(b)、ピーター・アースキン(ds)
アンソニー・ウィルソン(g)、ラリー・ゴールディングス(org) といった面々が加わっています。

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彼の真骨頂はやっぱりライブだと思います。
バラエティに富んだ選曲になっていますがDVDの‘LIVE AT MONTREUX 1993’にはマーカス・ミラー、ジョー・サンプル、デイヴィッド・サンボーンが参加してます。

彼のライブが見たかったのに、もっともっと活躍して欲しかったのに、残念です。。。。。

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posted by ありあ at 02:36| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年03月13日

正統派JAZZ Vocalを多彩なアプローチで:ティアニー・サットン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(10)

ジャズファンの皆様に向けてvocalistの私が選んだ、CD全部聴きからのお勧めpick up♪
今回ご紹介するのはTierney Sutton (1963- )。

先頃授賞式があったグラミー賞でBest Jazz Vocal Albumにノミネートされていましたが、そのほかにも過去5回にわたって同賞にノミネートされている実力派。
透明感のある声や確かな音程とリズム感で、繊細かつ大胆なジャズ・ヴォーカルの醍醐味を味わうことができます。

私がお勧めを選ぶ時の基準は、愛聴盤にして繰り返し聴きたいと思ったアルバムであるかどうか。
その意味ではじめにお勧めするのは1998年にリリースされたデビューアルバム“Introducing Tierney Sutton”です。

卓越した歌唱力で、聞き慣れたスタンダードナンバーをどのようなアプローチで聴かせてくれるのかが、彼女のアルバムの聴きどころ。
ファルセットや軽やかな声質を駆使したスキャットも巧みです。

In Love in Vain とMy Heart Stood StillはベースとのDuo。
ピアノとのDuoでは、抜群にswingしているIf I Were a Bell やバラードの繊細さが卓越したIn the Wee Small Hours of the Morning。
超アップテンポのThe Song Is You 、チック・コリアのHigh Wireなど、バラエティに富んだアプローチが楽しめます。

ミュージシャンは、ピアノがChristian Jacob とMichael Lang、ベースがTrey Henry、ドラムスが Ray Brinker、フリューゲルホーンにBuddy Childersが参加。

次のお勧めは2000年にリリースされた "Unsung Heroes" 。
こちらのアルバムは、タイトルどおり楽器奏者がよく演奏する楽曲が収められたもの。

軽々とswingしているクリフォード・ブラウンのJoy Spring、ジェリー・マリガンの演奏で有名なBernie's Tune、ウェイン・ショーターのSpeak No Evil、ディジー・ガレスピーのCon Alma、ジミー・ロウルズのThe Peacocksにノーマ・ウィンストンが歌詞をつけたA Timeless Placeなど。

数々のアルバムの中でスタンダードナンバーの斬新なアレンジが聴きどころになっているのは、彼女が20年の長きにわたり、同じメンバーによるティアニー・サットン・バンドで演奏していることが大きいと思うのです。

デビュー・アルバムに参加していたクリスチャン・ジェイコブ、トレイ・ヘンリー、レイ・ブリンカーにベーシストのケヴィン・アクスト( Kevin Axt)を加えたのがメンバー。
彼らはリーダーとサイドメンではなく、バンドのCo-leaderという関係性に立って音楽をともに創っているとのこと。
お互いを知り尽くしたメンバーが、相互にリーダーシップを発揮してアイデアを出し合っているんですね。

アレンジが興味深い曲では、それらのアイデアをどんな曲にどのように発展させて応用できるのか、あれこれ考えながら聴くのも勉強になります。

バンド歴が長いので、アレンジの効いた演奏はライブでも安定しています。
2005年にリリースされた“I'm with the Band”はNYのバードランドでのライブ録音。

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ボビー・マクファーリンやアル・ジャロウを敬愛する彼女は、2013年にリリースされたジョニ・ミッチェルに捧げるAfter Blueというアルバムで、先頃亡くなったアル・ジャロウとのDUOも残しています。

次回はアル・ジャロウのアルバム紹介を是非。

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posted by ありあ at 17:37| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年02月24日

遅咲きの実力派:ルネ・マリー〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(9)

CD全部聴きからのお勧めピックアップ。
今回ご紹介するのは、先のグラミー賞にノミネートされた黒人女性ヴォーカリストRené Marie。
1955年生まれの今年61歳です。

祖国アメリカをテーマにしたアルバムなど、songwriterとしてユニークな自作曲を近年数多く発表していますが、私が魅力を感じているのは、多様な発声法を駆使した変貌自在な彼女の表現法。
ダイナミクス(音量の変化)も巧みです。

スタンダード・ナンバーを多くとりあげているアルバムで、それらの曲がどのようなアプローチで演奏されているのか聴いていくと興味深い発見ができます。
そのようなアルバムは初期のものが多いですが、お勧めはスタンダードが多く収められた Vertigo(2001)。

ベースとブラシワークだけのドラムをバックに巧みなスキャットを披露するThem There Eyes。
マルグリュー・ミラーのピアノとのDuoによるバラードが美しいDetor Ahead。
南部を歌ったアカペラのDixieからの、シャウトするStrange Fruitのメドレー。
公民権運動を支持するビートルズの曲Blackbirdでは、エキゾチックな雰囲気のリズムパターンによるアレンジが個性的です。

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ライブ盤では、ニューヨークの老舗クラブJAZZ STANDARDで吹き込まれた2003年のLive at Jazz Standardで、変化に富んだ演奏スタイルでアレンジされた曲の数々を聴くことができます。

Where or Whenのようなシンプルな曲は、楽曲の良さを出しにくいのですが(少なくとも私は)、彼女は曲のイメージを豊かに膨らませて表現の可能性を試しているかのよう。
ピアノとのDuoのI Love You Porgyではダイナミクス(音量の変化)が美しい。
アカペラによるBoleroからのメドレー、レナード・コーエンの曲Suzanneでは、Boleroのリズムパターンによるアレンジが面白いです。

子育てのために歌をあきらめていた彼女が、プロのヴォーカリストとして活動を始めたのが42歳の時。
活動を反対する夫と別れ、家を出てデビュー作を発表したのだそうです。

才能に溢れていたからこそ今の活躍があるのだと思うのですが、自分の人生の舵を大きく切る決断をした彼女の歌への情熱に、私も励まされます。

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posted by ありあ at 11:53| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年01月28日

絶妙なタイム感覚:シャーリー・ホーン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(8)

以前にこのブログでも新しいアルバムを紹介したピアニスト兼ヴォーカリストのShirley Horn (1934 –2005)。
彼女がニューヨークに進出したのもマイルス。デイヴィスらの勧めがあったからで、多くのジャズ・ミュージシャンが賞賛してきた実力派です。
私の周りのシンガーにも彼女のファンが多数おられます。

今回は手持ちのアルバム23枚を年代順に聴いていきましたが、バラードの美しさもさることながら、力強いスタイルのswingもお得意で、どれがお勧めなのか迷うほどでした。

有名なアルバムではマイルスのレパートリー曲を97年に録音し、グラミー賞を受賞した“I Remember Miles”がありますが。

ここでは、マイルスが珍しくヴォーカリストのサイドマンで参加した1991年録音の“You Won't Forget Me”をご紹介します。
マイルスが、亡くなる直前のミュート・プレイをタイトル曲で披露しており、そのほかにも、ウィントン・マルサリス(tp)、ブランフォード・マルサリス(ts)、トゥーツ・シールマンス(g, harmonica)といった豪華なゲストが参加しています。

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マイルスから彼女が評価されていたのも「間」の感覚が彼の演奏に共通していたからではないかと言われたりしていました。

彼女の場合‘It Had to Be You’のようなバラードで聴かれるテンポが超スロウ。
swingする曲でも、歌うフレーズの合間にオブリガート(ソロの合間にメロディを入れること)がしっかり絡んでいます。

ヴォーカリストとピアニストが別々の場合には、フレーズの最後にヴォーカリストが意識的に間をとると、ピアニストがそれに気づいてオブリをはさんでくれて、両者の掛け合いになったりします。
あるいは、ピアニストのオブリを聴いていて、それらが終わったタイミングで歌のフレーズを入れたり。
私の場合はそんな感じで、そうやってその場その場での掛け合いを成立させるところに、スリリングな面白さがあるのですが。

彼女の場合には、それらを一人でやっているのですから、自分の歌にピアノのサウンドを絶妙に絡ませることができるわけで。
変化がつけにくくなる超スロウのバラードでも、合間にコーンとアクセントを効かせたサウンドを響かせたり。

そのほかに私が好きなアルバムは、ジョー・ヘンダーソン(ts)やエルビン・ジョーンズ(ds)が参加している“The Main Ingredient”(1996)。
比較的初期のアルバムでは“A Lazy Afternoon”(1978)。

ばりばりスキャトをしたり、原曲の姿をとどめないようなアレンジをしたりといった派手さはないですが、歌心がわかる歌伴がしたいと願うピアニストの方にも格好のお手本になる名演ぞろいです。

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posted by ありあ at 13:25| Comment(2) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年12月13日

英国出身の驚異的ヴォーカリスト:クレオ・レーン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(7)

前回このブログで、ソプラノ・ヴォイスが美しい北欧のマルガリータ・ベンクトソンをご紹介しましたが、今回ご紹介する方も、驚異的な音域を誇るヨーロッパ・ジャズ界の歌姫。
ポピュラー音楽やクラシック音楽、ミュージカル女優としても活躍してきたCleo Laine(1927-)です。

シェイクスピアの作品に曲をつけた『シェイクスピア・ジャズ』(“Shakespeare and All that Jazz”)(1964)というアルバムが世界的な注目を集めた方で、あらゆるジャンルの音楽に秀でています。
私の手元にあるアルバムは19枚なので、彼女の作品のほんの一部ですし、レパートリーが幅広い分、どのアルバムもジャズ色が強いというわけではありません。

そんな中で、私が彼女のファンになったのは、1989年のアルバム“Jazz”を聴いたことがきっかけ。
ゲスト・アーティストとして、バリトン・サックスのジェリー・マリガン、トランペットのクラーク・テリー、ハーモニカのトゥーツ・シールマンスらが加わっており、ジャズのスタンダード・ナンバーの名演を楽しむことができます。
中でもジェリー・マリガンの曲‘Walking Shoes’やトゥーツ・シールマンスの曲‘Bluesette’での、それぞれのミュージシャンとの共演が聴きどころ。

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彼女の声はハスキーでジャズ向きなのですが、ここまで声がだせるの?と驚かされる高音域は美しいファルセット。
オペラ歌手のようなビブラートがかかっているわけではないので、Jazz Vocalではこんなファルセットで歌えばいいのか・・・と学ぶところが多いです。

ライブ盤でお勧めなのが、“Cleo Laine Live! At Carnegie Hall”(1974) 。
完璧にコントロールされた器楽的歌唱も彼女の歌の特徴で、このアルバムのお勧めの曲‘Perdido’は、アップテンポでアレンジもスリリング。
何度でも繰り返し聴きたくなる演奏です。

この曲のテンポをもう少し落とし、同じアレンジと歌い方で演奏している別のライブ盤もあります。
というのも、彼女の歌は多くが夫であるサックス奏者ジョン・ダンクワース氏のアレンジによるもの。
スキャットも多くの場合、楽器奏者の演奏とのユニゾンで、高音が出せる彼女の音域にあわせたフレイズが書かれているのだそうです。

即興による演奏だけが‘Jazz’を感じさせるわけではない。
リスナーにとって聴き応えがある‘Jazz’とは何なのか、考えさせられます。

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posted by ありあ at 22:46| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年11月23日

クールな唱法が表現する温かさ:ピンキー・ウィンターズ〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(6)

このブログでも以前にアルバムを紹介したことがあるPinky Winters(1931- )。
今年85才になる大ベテランです。
かなり以前に、行きつけのジャズ喫茶「マイルストーン」の店主、織戸さんから、こんないいアルバムがあるよと教えていただいてからファンになりました。

そのアルバムが1954年、23才の時に録音したデビュー作の“Pinky”。
可憐でハスキーな声。アイデア満載のフェイクも巧みです。
‘This Can't Be Love'など自在にswingする曲が私好みですが、‘Cool Sazerac’といった珍しい曲も。

「クール・サゼラック」はカクテルの名前で、彼女がかつて一緒に活動していたアンディ・アレラノというドラマーが書いた曲らしい。
ブルージーなメロディラインにも関わらず、爽やかなハスキー・ヴォイスで歌っているので、明るさとほの暗さがミックスされた不思議な魅力に溢れたサウンドに仕上がっています。

ミュージシャンは、バド・ラヴィン(p)、ジム・ウルフ(b)、スタン・リーヴィー(ds)。
このアルバムが復刻された時に、ズート・シムス(ts)が入ったプライベート・セッション5曲と、このアルバムのためののリハーサル・セッション7曲が新たに加わっています。

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子育てで第一線から退いていた時期があったため、彼女のアルバムは数が多くないのですが、1980年代に復帰した後に出されたアルバムでは、低音域を活かした声に変わり、原曲のメロディを大切にしたストレートな唱法になっています。
彼女自身も「若い頃の歌を聞くと自分の歌とは思えない」と言っていたとか。

復帰後のアルバムは、シナトラやエラなどの歌伴を勤め、亡くなるまでピンキーのパートナーだったピアニストのルー・レヴィとの共演が多かったのですが。

私が好きなのは2001年録音の“Rain Sometimes”。
ミュージシャンは、リチャード・ロドニー・ベネット(p)とボブ・メイズ(b)。
リチャードの美しいピアノとのデュオによる曲が多くなっており、彼女の歌が持つ豊かな表現力が見事に発揮されている名唱ぞろいです。

バラードは言うに及ばず‘Little Did I Dream’のようなswingする曲が圧巻。
デュオではこんな歌い方をすればいいんだ〜と学ばされる事が多いです。

ルー・レヴィとのアルバム“Happy Madness”では、取り上げる曲のオリジナル版を研究しつくして演奏のアイデアを練っていたとのこと。
デビュー当時の自由な唱法のピンキーも好きですが、原曲の良さを活かした近年の彼女の歌も、曲への愛情あふれる温かさに満ちていて素晴らしいです。

彼女は日本にもしばしば来日しており、今週金曜に私も六本木・サテンドールでのライブを聴きに行ってきます。
終わりましたら、またこのブログでご報告しますね。

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posted by ありあ at 01:32| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年11月18日

可憐なはかなさでジャズ・ファンを魅了:ビヴァリー・ケニー〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(5)

お勧めレパートリーを以前にご紹介したときにアルバムを取り上げたBeverly Kenny( 1932-1960)。
28才の若さで自ら命を落としてしまったのが惜しまれます。

スタン・ゲッツの影響を受けていたという彼女。
ポピュラーシンガーのような歌い方をしているコンセプトのアルバムもわずかにありますが、多くのアルバムでJazz Vocalistとしての本領を発揮しています。

特徴はクリアにストレートに伸びる可憐な声。
フェイク(原曲のメロディーを崩した歌唱)も巧みです。

ブルーノート(長音階の3度と5度と7度の音を 半音下げた音)を時折使うのですが、声がcuteなので、メロディーラインが重くならずにはかなさが漂うイメージに。
始めて聴く曲も、どれも持ち歌にしたくなるほど魅力的な楽曲に仕上がっています。

なので、お勧めのアルバムを選ぶのが難しいですが、“Sings with Jimmy Jones and the Basie-ites”(1956) は、カウント・ベイシー楽団のピック・アップ・メンバーで構成されたコンボをバックに歌っています。
‘Nobody Else But Me’や‘Isn't This a Lovely Day’といったswingする曲が聴きごたえあり。

1958-59年に録音された“Sings for Playboys”のバックはピアノとベースのDuo。
ピアニストのエリス・ラーキンスは、エラやクリス・コナーのアルバムでも有名ですし、ベーシストのジョー・ベンジャミンは、サラ・ヴォーンとも演奏していた、いずれも歌伴の名手です。

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バラード‘What Is There to Say’では、歌い出しが高音から始まっているのですが、自分の声の中で魅力的な音域がどのあたりなのかを十分にわかってフェイクしている様子がうかがえます。

彼女が生きていたら、今頃どんなヴォーカリストになっていたでしょうか・・・。

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posted by ありあ at 01:27| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年11月08日

自由自在なヴォーカル・スタイル:キティ・マーゴリス〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(4)

前回紹介したマデリン・イーストマンとともにMad - Katというレーベルを起こして活動しているのが、今回ご紹介するKitty Margolis (1955 - )。

スキャットやヴォーカリーズだけでなく、ブルース・フィーリングに溢れた楽曲も、卓越した歌唱力で柔軟に歌いこなします。

現在はアルバムが5作品出されていますが、どれも素晴らしく、お勧めを選ぶのが難しい!
その中で、彼女の2枚目のアルバム“Evolution”(1993)は、テナー・サックス奏者のジョー・ヘンダーソンとブルース・ギタリストのジョー・ルイス・ウォーカーがメンバーに加わっている力作です。

彼女の歌はディクション(言葉が 明瞭に聞き取れる発音)が美しいのが特徴的。
声質も曲調にあわせて変わっていきます。
彼女が歌詞を書いているシダー・ウォルトンの‘Firm Roots’では、明るく響く高音にひきこまれますし、‘Someone Else is Steppin' In’という曲では、ファンキーなブルースが味わえます。

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お馴染みのスタンダード・ナンバーのアレンジを変えて、新鮮な演奏に生まれ変わらせてくれるのも、彼女のお得意です。
ライブ盤では“Heart & Soul : Live in San Francisco”(2004)はいかがでしょう。

‘A Sleepin’Bee’や‘Surrey With the Fringe on Top(飾りのついた四輪馬車)’ ‘Secret Love’といったスタンダード曲に、こんなアレンジができるんだ!?という新しい発見がありますよ。

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posted by ありあ at 02:37| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年10月09日

オリジナリティあふれる実力派:マデリン・イーストマン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(3)

あまり知られていないかもしれないのですが、是非聞いていただきたいのが、私が好きなヴォーカリストのMadeline Eastman (1954 - )
私もこんな風に歌えるといいな。。。と憧れているヴォーカリストです。

マイルスやショーターを聞きこみ、ヴォーカリストではカ−メン・マクレエの影響を受けたというだけあって、フェイクが巧みですし、軽やかなスキャットやジャズマンによる名演のヴォーカリーズなど、どんなスタイルの歌も完璧。
スタンダード曲のアレンジも勉強になります。

CDはどれを買ってもハズレがないのですが、1991年録音の“Mad about Madeline”は、フィル・ウッズやシダー・ウォルトンが参加していて、演奏も聴き応えあり。
お勧めの曲はマーク・マーフィーとのデュエットによる‘You're the Dangerous Type’。ボブ・ドローの曲です。
ヴォーカリーズでは、マイルスやフィル・ウッズなど多くのミュージシャンが取り上げている‘Freedom Jazz Dance’。

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1994年のアルバム“Art Attack”には、ケニー・バロンやトニー・ウイリアムスが参加しています。
変わったところではモンクの‘Evidence’やショーターの‘Nefertiti’といった曲も。

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posted by ありあ at 03:50| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱