2017年10月19日

自由なインタープレイによる独特の世界観:シーラ・ジョーダン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(16)

1928年生まれのSheila Jordan は来月で89歳。
大江千里さんのアルバムに参加していたのを、以前にこのブログでも紹介しましたが。。。。

webを見たらこれからのライブの予定がたくさん入っているのを発見! 
まだまだ現役なんですね。
今回も手に入る限りのアルバムを年代順に聴いて、お勧めをピックアップしていきます。

チャーリー・パーカーに認められてニューヨークに進出したシーラ。
バップのミュージシャンの中でキャリアを積み、楽器奏者のようにコード進行に即したインプロヴィゼーションを展開するヴォーカリストだと言われていますが。
cuteな声で繰り出すフレージングは、彼女独特の個性に溢れたものになっています。

初リーダー作“Portrait of Sheila”を吹き込んだのは32歳の時でしたし、2作目のアルバムを日本でリリースしたのが、その13年後。
苦労しながらも独自のアプローチを切り拓き、今なお年齢を感じさせずに第一線で活躍している一途な姿に心惹かれます。

デビュー作を名盤としてお勧めする方も多いのですが、学生時代に私が良く聴いていたのが2作目のアルバム、1975年の“Confirmation”。
パーカーを敬愛していたシーラがConfirmationをどう歌うのか興味深かったですし。
God Bless The Child、My Favorite Thingsといったスタンダードの自由な歌い方や、それらを次々とメドレーで続けていくアルバムの構成が新鮮でした。

ミュージシャンの演奏もシーラの自由なアプローチにぴったりあっていて。
ピアノはアラン・パスクア(Alan Pasqua)、ベースがキャメロン・ブラウン(Cameron Brown)、ドラムがビーヴァー・ハリス (Beaver Harris)、テナーサックスが ノーマン・マーネル(Norman Marnell)。

シーラはベーシストとのDUOのアルバムが多いのが特徴的。
ほかの楽器では得られないテクスチュアやグルーブが生み出されると感じているかららしいです。

お勧めはハーヴィー・シュワルツ(Harvie Swartz)とのDUOによる“The Very Thought Of Two”。
1988年の日本初来日時のライブの模様を収録しており、彼女のライブ録音はこれがはじめてだとか。

アルバムのタイトルが洒落てます。
ほかにもI've Grown Accustomed To The Bassなんていう曲名をDUOアルバムのタイトルにしていたり。
(原曲のタイトルはbassではなくてface)

ハーヴィーとは79年のアルバム“Playground”で共演したスティーブ・キューン・カルテットで知り合い、その後も多くのアルバムで共演しています。
ライブなのでスタンダード・ナンバーの自由度が半端じゃないですし、二人の息もぴったり。

インタープレイが得意なシーラのアルバムは、やっぱりライブ盤がお勧めです。
ハーヴィーとピアノのアラン・ブロードベント(Alan Broadbent)と共演した“Better Than Anything”は、1991年の録音。
彼女が何度も吹き込んでいるお馴染みの曲が満載ですが、リラックスしたライブならではの自由なパフォーマンスを楽しめます。

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彼女のライブ、残念ながら聴きにいったことがないのですが、これから機会に恵まれるでしょうか。

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posted by ありあ at 15:47| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年08月31日

華麗なスキャットとヴォーカリーズ:アニタ・ワーデル〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(15)

Anita Wardellは1961年生まれ、英国出身のオーストラリア育ちです。
声がとてもcuteで、こんなところまで出るの?!と驚くくらいに声域が広い。
その魅力的な声で、スキャットやヴォーカリーズ(ジャズ・ミュージシャンが演奏したスタンダード曲のアドリブパートにそのまま歌詞をつけて歌うこと)を軽々こなしていくのです。

ジャズ・ヴォーカルファンなら心奪われること間違いなしの彼女がリリースした7枚のアルバムから、お勧めをピックアップしました。

1997年にリリースされた“Why Do You Cry”は、ピアニストLiam Nobleとのデュオ。
私が大好きなマーク・マーフィーとノーマ・ウィンストンが推薦の言葉を寄せていました。

ゆったりと歌うI've Never Been in Love Beforeではチェット・ベイカーを思わせるけだるい雰囲気のフレーズとシラブル(発音)でスキャットしているのですが。
Twistedのようなアップテンポの曲が圧巻。
ピアノとのデュオはこうでなくちゃ・・と思わせるインタ−プレイも随所で発揮されています。

2006年のアルバム“Noted”はよく知られた選曲で楽しめます。
Moaninではリー・モーガンのソロをヴォーカリーズ。
Watermelon ManやSidewinderといったファンキーな曲も。
この年に彼女はBBC Jazz AwardsのBest of Jazzを受賞しています。

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彼女のアルバムを聴いていると、この曲をこんなリズムやアレンジでやるんだ〜という新鮮な発見がありますし。
マーク・マーフイーは、クリアで正確な彼女のbop signingもさることながら、情感がこもったバラードに心打たれたと書いていました。

日本ではファンの方が少ないかもしれませんが、様々な角度からのジャズ・ヴォーカルの魅力にあふれた素晴らしいヴォーカリストだと思います。

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posted by ありあ at 00:19| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年07月24日

歌のうまさが際立つ実力派:ヴァネッサ・ルービン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(14)

Vanessa Rubin は1957年生まれで今年60歳。
最初のアルバムSoul Eyesをリリースしたのが1992年、35歳の時でした。
レコーディングのスタートは遅かったようですが、多くの著名ミュージシャンと共演し、作詞・作曲も手がける実力派です。

歌い方が自然でピッチも正確。
コンテンポラリーな楽曲もさらりと歌いこなし、どのアルバムでも歌のうまさが際立っています。
年代順にアルバムを聴いてピックアップしたお勧めはこちら。

はじめに1993年にリリースされた2作目のアルバム“Pastiche”。
スタンダードとJazz tuneによる選曲です。
フランク・フォスターのSimoneとダグ・カーンのArise and Shineでは、彼女の歌の実力が再認識できましたし、In A Sentimental Moodのアレンジもおもしろかった。

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最近のアルバムでは2013年にリリースされた“Full Circle”。
サックス奏者であり、作曲、編曲も手がけるドン・ブレイデン(Don Braden)との共作です。

ギタリストの デイヴ・ストライカー(Dave Stryker)や、ドンのリーダーアルバムにも参加しているハモンド・オルガンのカイル・コーラー(Kyle Koehler)が共演しており、vocalアルバムというより、Jazzミュージシャンの演奏の中に、ヴァネッサの歌が自然に溶け込んでいる感じ。

ドンやヴァネッサのオリジナル曲があったり、タッド・ダメロンのReveries do come trueという曲にヴェネッサが詩をつけていたりといった多彩な選曲。
Jazzファンの方に十分に楽しんでいただけるアルバムです。

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posted by ありあ at 01:30| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年07月03日

アーティストとしての多彩な才能:カーメン・ランディ〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(13)

先日までJazz weekのチャートに新譜の“Code Noir”がランキングしていたこともあって、しばらく前からCarmen Lundyを聴いていました。
1955年生まれの女性vocalist。
作曲やアレンジだけでなくアルバムでは様々な楽器も担当。
女優や画家としても有名らしく、アルバムジャケットに印刷されていた絵画が彼女の作品だったり。

1985年の初アルバムから始まって、年代順に全アルバムを聴きながらお勧めをピックアップしてみました。
年齢を重ねるにつれ、発声の仕方が変わっているようで、私が好みなのは、ハスキーで力が入っていない歌い方が魅力的な初期のアルバムなのですが。

作品としての充実度で選ぶなら2001年の“This Is Carmen Lundy”。
全曲オリジナル、アレンジも彼女自身で、というアルバムは色々あるのですが。
ラテンのリズムのAll Day, All Nightや、インストで演奏してもばっちり決まりそうなBetter Luck Next Timeなど。
彼女のオリジナルは、はじめて聴く曲なのに耳に残って、かっこいいな、私もレパートリーにしたいな、という曲が少なくないように思います。

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スタンダードも聴いてみたいという方には1994年録音の“Self Portrait”。
ピアノのシダー・ウォルトンやテナーのアーニー・ワッツが参加しているアルバムです。
アレンジがユニークなMy Favorite Things やストリングスをバックにゴージャスに歌うRound Midnightといったスタンダートナンバーとオリジナルで構成されている変化に富んだ内容です。

オリジナルで個性を発揮すること。
Jazz vocalistの表現方法として憧れます。

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posted by ありあ at 21:52| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年06月19日

ハイトーンのシャウトが圧巻:ダイアン・シュ-ア〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(12)

前回ダイアン・リーヴスを紹介しましたので、今回は「ダイアン」繋がりでDiane Schuurをご紹介しましょう。
1953年生まれの63歳。

1985年の斑尾ジャズ・フェスティバルに初来日したときの感動は今でも忘れません。
生まれてすぐに視力を失った彼女。
ステージの中央まで手を引かれて登場し、かわいく何度もお辞儀をしたあとに、ピアノの前に座って歌った声量の豊かなこと!
その後1986年、1987年と2年続けてグラミー賞に輝いています。

今回は初来日前年に出されて話題になった"Deedles"から、現在までの全てのアルバムを年代順に聴いて、お勧めをピックアップしてみました。

初期のアルバムやブルース・フィーリングがある曲を聴いていた時に、ダイナ・ワシントンやナンシー・ウイルソンが好きな方にダイアンはお勧めだな〜とふと思いました。

調べてみると、教会の聖歌隊でゴスペルを歌っていたり、ダイナ・ワシンントンの影響を受けていたということがわかり、やっぱりそうだったか・・・と納得した次第。
歌い回しのフレージングに似た部分が感じられたのですが、発声が黒人シンガーと異なっていて高音のファルセットが美しく、彼女ならではの個性に溢れています。
当初はカントリー・ウエスタンの曲を歌っていたこともあって、カントリー調の選曲が多いアルバムもあります。

バラエティに富んだアルバムの中で、彼女らしい歌が聴けるのがこちら。
1987年にグラミー賞を獲得した“Diane Schuur and the Count Basie Orchestra”。
ダイナミックなベイシー・オーケストラとの共演で、彼女の歌の華やかさが一層際立っていますし、ライブならではの白熱した演奏が楽しめます。
I Loves You, Porgy のようなバラードも美しい。

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ゴスペルを歌っていた影響があるかもしれませんが、3オクターブ以上出せる豊かな声域の彼女は、ハイトーンを活かしたシャウトが特徴的。

そんな彼女らしい歌を堪能できる次のお勧めは、トランペッターのメイナード・ファーガソンとの2001年の共作“Swingin' For Schuur”。
彼が率いるビッグ・バンドBig Bop Nouveau との共演によるスタンダード集です。
ハイノート・ヒッター(超高音域の演奏)で有名なメイナードの演奏と刺激しあって繰り出されるダイアンの歌が刺激的。
アレンジも興味深いです。

昨年来日したそうで、私は行きそびれましたが、次の来日を心待ちにしたいと思います。

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posted by ありあ at 17:26| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年05月26日

伸びやかな声が魅力の変貌自在なヴォーカリスト:ダイアン・リーヴス〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(11)

この度Dianne Reevesが来日することに。
私も5月31日(水)にブルーノートへ聴きに行ってまいります。
ということでここ数日、お勧めCDのご紹介準備も兼ねて、彼女のCDを聴きこんでいました。

通算5度のグラミー賞に輝く彼女は、1956年生まれの今年61才。
全てのアルバムを聴いてお勧めをご紹介したかったのですが、'87年にブルーノート・レコードからメジャー・デビューした以前の作品は手もとになくて、カバーできませんでした。

繰り返し聴いて愛聴盤にしたいと思ったのは、'87年の“Dianne Reeves”。
フュージョン色が濃いアルバムですが、今聴いても大いに楽しめたのは、かつて何度も聴いていたアルバムで懐かしかったから、という理由だけではないような気がしました。

ミュージシャンの素晴らしい演奏と一体になって天空を駆けるような彼女の歌声。
Harvest TimeやChan's Song といったハービー・ハンコックの曲が選曲されていて、彼もゲスト・アーティストとして録音に加わっています。
スタンダードのYesterdaysやI Got It Bad And That Ain't Goodも聴きごたえがありましたが、トニー・ウイリアムスや、フレディ・ハバード、スタンリー・クラークが加わっていました。

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ダイアン・リーヴスというと、このアルバムのように広い音域を自在に駆使したり、アフリカ音楽がルーツに感じられるような自由なフレージングを操るというイメージがあったのですが。
最近のアルバムでは、オーソドックスな歌い方のものが少なくない印象でした。

私がいいな♪と思ったのは、2002年に録音されたスタンダード・アルバム“A Little Moonlight”
3作連続で4度目のグラミー賞“ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム”部門を受賞した作品です。

スモール・コンボをバックに、原曲のメロディーラインを大切に歌っており、スキャットも力が入らず自然な流れ。
トランペットのニコラス・ペイトンとの掛け合いが美しいYou Go To My Head。
ギターのホメロ・ルバンボとしっとり歌い上げるDarn That Dreamなど名唱ぞろい。
セロニアス・モンクの曲にジョン・ヘンドリックスが歌詞をつけたReflectinosといった曲も。

今回の来日公演のメンバーにも、このアルバムのピアニスト、ピーター・マーティンやホメロ・ルバンボが参加するようです。

今回年代順に一通りアルバムを聴いて、ダイアン・リーヴスに対する私のイメージがかなり変わりました。
自在に変貌するヴォーカリストの来週の公演が楽しみです。

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posted by ありあ at 03:19| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年04月08日

追悼アル・ジャロウ:お勧めジャズ・アルバムは?

2月12日に76才で亡くなられたアル・ジャロウ氏。
1980年の‘This Time’に収録されたSpainや、1977年のライブ盤‘Look to the Rainbow’に収録されたTake Fiveといった名演が有名ですよね。

今回追悼の気持ちを込めて、彼の全アルバムを年代順に集めて聴いてみました。
3部門でグラミー賞を獲得しているだけあって、popsやフュージョン系のアルバムが少なくなく、全てを聴いたことがなかったのですが。
それらの中からジャズ・ファンの方にも楽しんでいただけるものをピックアップしてみました。

お気に入りでかつて何度も繰り返し聴いていたのが‘1965'。
デビュー前の1965年にピアノ・トリオと録音した未発表音源が1982年にリリースされています。
My Favorite ThingsやA Sleepin' Bee、The Masquerade Is Overなど抜群のノリ。
ライブを始める前のお勉強中だった頃の私のお手本になっていたアルバムです。
当時彼が大学生だったというのが恐ろしい。。。

2004年の'Accentuate the Positive'はミュージシャンが豪華なジャズ・アルバム。
ラリー・ウィリアムス(p)、クリスチャン・マクブライド(b)、ピーター・アースキン(ds)
アンソニー・ウィルソン(g)、ラリー・ゴールディングス(org) といった面々が加わっています。

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彼の真骨頂はやっぱりライブだと思います。
バラエティに富んだ選曲になっていますがDVDの‘LIVE AT MONTREUX 1993’にはマーカス・ミラー、ジョー・サンプル、デイヴィッド・サンボーンが参加してます。

彼のライブが見たかったのに、もっともっと活躍して欲しかったのに、残念です。。。。。

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posted by ありあ at 02:36| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年03月13日

正統派JAZZ Vocalを多彩なアプローチで:ティアニー・サットン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(10)

ジャズファンの皆様に向けてvocalistの私が選んだ、CD全部聴きからのお勧めpick up♪
今回ご紹介するのはTierney Sutton (1963- )。

先頃授賞式があったグラミー賞でBest Jazz Vocal Albumにノミネートされていましたが、そのほかにも過去5回にわたって同賞にノミネートされている実力派。
透明感のある声や確かな音程とリズム感で、繊細かつ大胆なジャズ・ヴォーカルの醍醐味を味わうことができます。

私がお勧めを選ぶ時の基準は、愛聴盤にして繰り返し聴きたいと思ったアルバムであるかどうか。
その意味ではじめにお勧めするのは1998年にリリースされたデビューアルバム“Introducing Tierney Sutton”です。

卓越した歌唱力で、聞き慣れたスタンダードナンバーをどのようなアプローチで聴かせてくれるのかが、彼女のアルバムの聴きどころ。
ファルセットや軽やかな声質を駆使したスキャットも巧みです。

In Love in Vain とMy Heart Stood StillはベースとのDuo。
ピアノとのDuoでは、抜群にswingしているIf I Were a Bell やバラードの繊細さが卓越したIn the Wee Small Hours of the Morning。
超アップテンポのThe Song Is You 、チック・コリアのHigh Wireなど、バラエティに富んだアプローチが楽しめます。

ミュージシャンは、ピアノがChristian Jacob とMichael Lang、ベースがTrey Henry、ドラムスが Ray Brinker、フリューゲルホーンにBuddy Childersが参加。

次のお勧めは2000年にリリースされた "Unsung Heroes" 。
こちらのアルバムは、タイトルどおり楽器奏者がよく演奏する楽曲が収められたもの。

軽々とswingしているクリフォード・ブラウンのJoy Spring、ジェリー・マリガンの演奏で有名なBernie's Tune、ウェイン・ショーターのSpeak No Evil、ディジー・ガレスピーのCon Alma、ジミー・ロウルズのThe Peacocksにノーマ・ウィンストンが歌詞をつけたA Timeless Placeなど。

数々のアルバムの中でスタンダードナンバーの斬新なアレンジが聴きどころになっているのは、彼女が20年の長きにわたり、同じメンバーによるティアニー・サットン・バンドで演奏していることが大きいと思うのです。

デビュー・アルバムに参加していたクリスチャン・ジェイコブ、トレイ・ヘンリー、レイ・ブリンカーにベーシストのケヴィン・アクスト( Kevin Axt)を加えたのがメンバー。
彼らはリーダーとサイドメンではなく、バンドのCo-leaderという関係性に立って音楽をともに創っているとのこと。
お互いを知り尽くしたメンバーが、相互にリーダーシップを発揮してアイデアを出し合っているんですね。

アレンジが興味深い曲では、それらのアイデアをどんな曲にどのように発展させて応用できるのか、あれこれ考えながら聴くのも勉強になります。

バンド歴が長いので、アレンジの効いた演奏はライブでも安定しています。
2005年にリリースされた“I'm with the Band”はNYのバードランドでのライブ録音。

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ボビー・マクファーリンやアル・ジャロウを敬愛する彼女は、2013年にリリースされたジョニ・ミッチェルに捧げるAfter Blueというアルバムで、先頃亡くなったアル・ジャロウとのDUOも残しています。

次回はアル・ジャロウのアルバム紹介を是非。

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posted by ありあ at 17:37| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年02月24日

遅咲きの実力派:ルネ・マリー〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(9)

CD全部聴きからのお勧めピックアップ。
今回ご紹介するのは、先のグラミー賞にノミネートされた黒人女性ヴォーカリストRené Marie。
1955年生まれの今年61歳です。

祖国アメリカをテーマにしたアルバムなど、songwriterとしてユニークな自作曲を近年数多く発表していますが、私が魅力を感じているのは、多様な発声法を駆使した変貌自在な彼女の表現法。
ダイナミクス(音量の変化)も巧みです。

スタンダード・ナンバーを多くとりあげているアルバムで、それらの曲がどのようなアプローチで演奏されているのか聴いていくと興味深い発見ができます。
そのようなアルバムは初期のものが多いですが、お勧めはスタンダードが多く収められた Vertigo(2001)。

ベースとブラシワークだけのドラムをバックに巧みなスキャットを披露するThem There Eyes。
マルグリュー・ミラーのピアノとのDuoによるバラードが美しいDetor Ahead。
南部を歌ったアカペラのDixieからの、シャウトするStrange Fruitのメドレー。
公民権運動を支持するビートルズの曲Blackbirdでは、エキゾチックな雰囲気のリズムパターンによるアレンジが個性的です。

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ライブ盤では、ニューヨークの老舗クラブJAZZ STANDARDで吹き込まれた2003年のLive at Jazz Standardで、変化に富んだ演奏スタイルでアレンジされた曲の数々を聴くことができます。

Where or Whenのようなシンプルな曲は、楽曲の良さを出しにくいのですが(少なくとも私は)、彼女は曲のイメージを豊かに膨らませて表現の可能性を試しているかのよう。
ピアノとのDuoのI Love You Porgyではダイナミクス(音量の変化)が美しい。
アカペラによるBoleroからのメドレー、レナード・コーエンの曲Suzanneでは、Boleroのリズムパターンによるアレンジが面白いです。

子育てのために歌をあきらめていた彼女が、プロのヴォーカリストとして活動を始めたのが42歳の時。
活動を反対する夫と別れ、家を出てデビュー作を発表したのだそうです。

才能に溢れていたからこそ今の活躍があるのだと思うのですが、自分の人生の舵を大きく切る決断をした彼女の歌への情熱に、私も励まされます。

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posted by ありあ at 11:53| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2017年01月28日

絶妙なタイム感覚:シャーリー・ホーン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(8)

以前にこのブログでも新しいアルバムを紹介したピアニスト兼ヴォーカリストのShirley Horn (1934 –2005)。
彼女がニューヨークに進出したのもマイルス。デイヴィスらの勧めがあったからで、多くのジャズ・ミュージシャンが賞賛してきた実力派です。
私の周りのシンガーにも彼女のファンが多数おられます。

今回は手持ちのアルバム23枚を年代順に聴いていきましたが、バラードの美しさもさることながら、力強いスタイルのswingもお得意で、どれがお勧めなのか迷うほどでした。

有名なアルバムではマイルスのレパートリー曲を97年に録音し、グラミー賞を受賞した“I Remember Miles”がありますが。

ここでは、マイルスが珍しくヴォーカリストのサイドマンで参加した1991年録音の“You Won't Forget Me”をご紹介します。
マイルスが、亡くなる直前のミュート・プレイをタイトル曲で披露しており、そのほかにも、ウィントン・マルサリス(tp)、ブランフォード・マルサリス(ts)、トゥーツ・シールマンス(g, harmonica)といった豪華なゲストが参加しています。

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マイルスから彼女が評価されていたのも「間」の感覚が彼の演奏に共通していたからではないかと言われたりしていました。

彼女の場合‘It Had to Be You’のようなバラードで聴かれるテンポが超スロウ。
swingする曲でも、歌うフレーズの合間にオブリガート(ソロの合間にメロディを入れること)がしっかり絡んでいます。

ヴォーカリストとピアニストが別々の場合には、フレーズの最後にヴォーカリストが意識的に間をとると、ピアニストがそれに気づいてオブリをはさんでくれて、両者の掛け合いになったりします。
あるいは、ピアニストのオブリを聴いていて、それらが終わったタイミングで歌のフレーズを入れたり。
私の場合はそんな感じで、そうやってその場その場での掛け合いを成立させるところに、スリリングな面白さがあるのですが。

彼女の場合には、それらを一人でやっているのですから、自分の歌にピアノのサウンドを絶妙に絡ませることができるわけで。
変化がつけにくくなる超スロウのバラードでも、合間にコーンとアクセントを効かせたサウンドを響かせたり。

そのほかに私が好きなアルバムは、ジョー・ヘンダーソン(ts)やエルビン・ジョーンズ(ds)が参加している“The Main Ingredient”(1996)。
比較的初期のアルバムでは“A Lazy Afternoon”(1978)。

ばりばりスキャトをしたり、原曲の姿をとどめないようなアレンジをしたりといった派手さはないですが、歌心がわかる歌伴がしたいと願うピアニストの方にも格好のお手本になる名演ぞろいです。

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posted by ありあ at 13:25| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年12月13日

英国出身の驚異的ヴォーカリスト:クレオ・レーン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(7)

前回このブログで、ソプラノ・ヴォイスが美しい北欧のマルガリータ・ベンクトソンをご紹介しましたが、今回ご紹介する方も、驚異的な音域を誇るヨーロッパ・ジャズ界の歌姫。
ポピュラー音楽やクラシック音楽、ミュージカル女優としても活躍してきたCleo Laine(1927-)です。

シェイクスピアの作品に曲をつけた『シェイクスピア・ジャズ』(“Shakespeare and All that Jazz”)(1964)というアルバムが世界的な注目を集めた方で、あらゆるジャンルの音楽に秀でています。
私の手元にあるアルバムは19枚なので、彼女の作品のほんの一部ですし、レパートリーが幅広い分、どのアルバムもジャズ色が強いというわけではありません。

そんな中で、私が彼女のファンになったのは、1989年のアルバム“Jazz”を聴いたことがきっかけ。
ゲスト・アーティストとして、バリトン・サックスのジェリー・マリガン、トランペットのクラーク・テリー、ハーモニカのトゥーツ・シールマンスらが加わっており、ジャズのスタンダード・ナンバーの名演を楽しむことができます。
中でもジェリー・マリガンの曲‘Walking Shoes’やトゥーツ・シールマンスの曲‘Bluesette’での、それぞれのミュージシャンとの共演が聴きどころ。

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彼女の声はハスキーでジャズ向きなのですが、ここまで声がだせるの?と驚かされる高音域は美しいファルセット。
オペラ歌手のようなビブラートがかかっているわけではないので、Jazz Vocalではこんなファルセットで歌えばいいのか・・・と学ぶところが多いです。

ライブ盤でお勧めなのが、“Cleo Laine Live! At Carnegie Hall”(1974) 。
完璧にコントロールされた器楽的歌唱も彼女の歌の特徴で、このアルバムのお勧めの曲‘Perdido’は、アップテンポでアレンジもスリリング。
何度でも繰り返し聴きたくなる演奏です。

この曲のテンポをもう少し落とし、同じアレンジと歌い方で演奏している別のライブ盤もあります。
というのも、彼女の歌は多くが夫であるサックス奏者ジョン・ダンクワース氏のアレンジによるもの。
スキャットも多くの場合、楽器奏者の演奏とのユニゾンで、高音が出せる彼女の音域にあわせたフレイズが書かれているのだそうです。

即興による演奏だけが‘Jazz’を感じさせるわけではない。
リスナーにとって聴き応えがある‘Jazz’とは何なのか、考えさせられます。

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posted by ありあ at 22:46| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年11月23日

クールな唱法が表現する温かさ:ピンキー・ウィンターズ〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(6)

このブログでも以前にアルバムを紹介したことがあるPinky Winters(1931- )。
今年85才になる大ベテランです。
かなり以前に、行きつけのジャズ喫茶「マイルストーン」の店主、織戸さんから、こんないいアルバムがあるよと教えていただいてからファンになりました。

そのアルバムが1954年、23才の時に録音したデビュー作の“Pinky”。
可憐でハスキーな声。アイデア満載のフェイクも巧みです。
‘This Can't Be Love'など自在にswingする曲が私好みですが、‘Cool Sazerac’といった珍しい曲も。

「クール・サゼラック」はカクテルの名前で、彼女がかつて一緒に活動していたアンディ・アレラノというドラマーが書いた曲らしい。
ブルージーなメロディラインにも関わらず、爽やかなハスキー・ヴォイスで歌っているので、明るさとほの暗さがミックスされた不思議な魅力に溢れたサウンドに仕上がっています。

ミュージシャンは、バド・ラヴィン(p)、ジム・ウルフ(b)、スタン・リーヴィー(ds)。
このアルバムが復刻された時に、ズート・シムス(ts)が入ったプライベート・セッション5曲と、このアルバムのためののリハーサル・セッション7曲が新たに加わっています。

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子育てで第一線から退いていた時期があったため、彼女のアルバムは数が多くないのですが、1980年代に復帰した後に出されたアルバムでは、低音域を活かした声に変わり、原曲のメロディを大切にしたストレートな唱法になっています。
彼女自身も「若い頃の歌を聞くと自分の歌とは思えない」と言っていたとか。

復帰後のアルバムは、シナトラやエラなどの歌伴を勤め、亡くなるまでピンキーのパートナーだったピアニストのルー・レヴィとの共演が多かったのですが。

私が好きなのは2001年録音の“Rain Sometimes”。
ミュージシャンは、リチャード・ロドニー・ベネット(p)とボブ・メイズ(b)。
リチャードの美しいピアノとのデュオによる曲が多くなっており、彼女の歌が持つ豊かな表現力が見事に発揮されている名唱ぞろいです。

バラードは言うに及ばず‘Little Did I Dream’のようなswingする曲が圧巻。
デュオではこんな歌い方をすればいいんだ〜と学ばされる事が多いです。

ルー・レヴィとのアルバム“Happy Madness”では、取り上げる曲のオリジナル版を研究しつくして演奏のアイデアを練っていたとのこと。
デビュー当時の自由な唱法のピンキーも好きですが、原曲の良さを活かした近年の彼女の歌も、曲への愛情あふれる温かさに満ちていて素晴らしいです。

彼女は日本にもしばしば来日しており、今週金曜に私も六本木・サテンドールでのライブを聴きに行ってきます。
終わりましたら、またこのブログでご報告しますね。

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posted by ありあ at 01:32| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年11月18日

可憐なはかなさでジャズ・ファンを魅了:ビヴァリー・ケニー〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(5)

お勧めレパートリーを以前にご紹介したときにアルバムを取り上げたBeverly Kenny( 1932-1960)。
28才の若さで自ら命を落としてしまったのが惜しまれます。

スタン・ゲッツの影響を受けていたという彼女。
ポピュラーシンガーのような歌い方をしているコンセプトのアルバムもわずかにありますが、多くのアルバムでJazz Vocalistとしての本領を発揮しています。

特徴はクリアにストレートに伸びる可憐な声。
フェイク(原曲のメロディーを崩した歌唱)も巧みです。

ブルーノート(長音階の3度と5度と7度の音を 半音下げた音)を時折使うのですが、声がcuteなので、メロディーラインが重くならずにはかなさが漂うイメージに。
始めて聴く曲も、どれも持ち歌にしたくなるほど魅力的な楽曲に仕上がっています。

なので、お勧めのアルバムを選ぶのが難しいですが、“Sings with Jimmy Jones and the Basie-ites”(1956) は、カウント・ベイシー楽団のピック・アップ・メンバーで構成されたコンボをバックに歌っています。
‘Nobody Else But Me’や‘Isn't This a Lovely Day’といったswingする曲が聴きごたえあり。

1958-59年に録音された“Sings for Playboys”のバックはピアノとベースのDuo。
ピアニストのエリス・ラーキンスは、エラやクリス・コナーのアルバムでも有名ですし、ベーシストのジョー・ベンジャミンは、サラ・ヴォーンとも演奏していた、いずれも歌伴の名手です。

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バラード‘What Is There to Say’では、歌い出しが高音から始まっているのですが、自分の声の中で魅力的な音域がどのあたりなのかを十分にわかってフェイクしている様子がうかがえます。

彼女が生きていたら、今頃どんなヴォーカリストになっていたでしょうか・・・。

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posted by ありあ at 01:27| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年11月08日

自由自在なヴォーカル・スタイル:キティ・マーゴリス〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(4)

前回紹介したマデリン・イーストマンとともにMad - Katというレーベルを起こして活動しているのが、今回ご紹介するKitty Margolis (1955 - )。

スキャットやヴォーカリーズだけでなく、ブルース・フィーリングに溢れた楽曲も、卓越した歌唱力で柔軟に歌いこなします。

現在はアルバムが5作品出されていますが、どれも素晴らしく、お勧めを選ぶのが難しい!
その中で、彼女の2枚目のアルバム“Evolution”(1993)は、テナー・サックス奏者のジョー・ヘンダーソンとブルース・ギタリストのジョー・ルイス・ウォーカーがメンバーに加わっている力作です。

彼女の歌はディクション(言葉が 明瞭に聞き取れる発音)が美しいのが特徴的。
声質も曲調にあわせて変わっていきます。
彼女が歌詞を書いているシダー・ウォルトンの‘Firm Roots’では、明るく響く高音にひきこまれますし、‘Someone Else is Steppin' In’という曲では、ファンキーなブルースが味わえます。

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お馴染みのスタンダード・ナンバーのアレンジを変えて、新鮮な演奏に生まれ変わらせてくれるのも、彼女のお得意です。
ライブ盤では“Heart & Soul : Live in San Francisco”(2004)はいかがでしょう。

‘A Sleepin’Bee’や‘Surrey With the Fringe on Top(飾りのついた四輪馬車)’ ‘Secret Love’といったスタンダード曲に、こんなアレンジができるんだ!?という新しい発見がありますよ。

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posted by ありあ at 02:37| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年10月09日

オリジナリティあふれる実力派:マデリン・イーストマン〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(3)

あまり知られていないかもしれないのですが、是非聞いていただきたいのが、私が好きなヴォーカリストのMadeline Eastman (1954 - )
私もこんな風に歌えるといいな。。。と憧れているヴォーカリストです。

マイルスやショーターを聞きこみ、ヴォーカリストではカ−メン・マクレエの影響を受けたというだけあって、フェイクが巧みですし、軽やかなスキャットやジャズマンによる名演のヴォーカリーズなど、どんなスタイルの歌も完璧。
スタンダード曲のアレンジも勉強になります。

CDはどれを買ってもハズレがないのですが、1991年録音の“Mad about Madeline”は、フィル・ウッズやシダー・ウォルトンが参加していて、演奏も聴き応えあり。
お勧めの曲はマーク・マーフィーとのデュエットによる‘You're the Dangerous Type’。ボブ・ドローの曲です。
ヴォーカリーズでは、マイルスやフィル・ウッズなど多くのミュージシャンが取り上げている‘Freedom Jazz Dance’。

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1994年のアルバム“Art Attack”には、ケニー・バロンやトニー・ウイリアムスが参加しています。
変わったところではモンクの‘Evidence’やショーターの‘Nefertiti’といった曲も。

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posted by ありあ at 03:50| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年09月09日

個性的な北欧の歌姫:カーリン・クロッグ〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(2)

ノルウエー出身のKarin Krog (1937 - )は、あらゆるスタイルの演奏に挑戦して個性を発揮するタイプのヴォーカリストです。
器楽的なアプローチによる前衛的な作品もあれば、ヴォーカリーズもある。
自由奔放なチャレンジ精神が刺激的です。

声が少しハスキーでcuteなところが私は大好き。
bopミュージシャンのデクスター・ゴードンやケニー・ドリュー、フリー・ジャズのアーチー・シェップといったタイプの違うミュージシャンとの共演や、スティーヴ・キューンとの一連の共演など、超大物ミュージシャンのプレイと一体となった演奏が楽しめるアルバムが多いのも魅力です。

その中から今回はスタンダードを集めたアルバムをお勧めとして選んでみました。
はじめに、彼女の2枚目のリーダー作“Jazz Moments”(1966)。
メンバーはKenny Drew(p)、Niels-Henning Ørsted Pedersen(b)、Jon Christensen(ds)、Jan Garbarek(ts)です。

1曲目は軽快にswingする‘I've Got Your Number’。
トニー・ベネットやペギー・リーも歌っていますが、カーリンのこのテイクのテンポが曲にとてもよくあっていて、一度聴くとしばらく耳に残って忘れられなくなるような歌い方です。

2曲目はバラードで‘Old Folks' 。
ロング・トーンを駆使してサビの部分を盛り上げていますが、声がcuteなので、重苦しくない。
さらりと語るように歌っていたかと思えばロングトーンで盛り上げていくダイナミクスが素晴らしいです。

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次のお勧めは“I Remember You”(1980)。
ミュージシャンはWarne Marsh(ts)と Red Mitchell(b)です。
彼女は、楽器の音が人間の声に似ているからという理由でテナー奏者とよく共演しています。
先に紹介したアルバムのペデルセンもそうでしたが、技巧派のベーシストとの共演が多い気がします。

このアルバムで興味深かった曲は‘Lester's Happy’。
Lester Youngの名演で知られている‘Sometimes I'm Happy’をヴォーカリーズにした曲で、ヴォーカリーズの開祖と言われているKing Pleasure (1922 –1981)が歌っていました。

何年か前にスティーヴ・キューン・トリオと来日した彼女のライブを聴きにいったことがありました。
またそのような機会があったら嬉しいのですが、叶うでしょうか。。

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posted by ありあ at 02:34| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱

2016年08月04日

マリーナ・ショウ “Who Is This Bitch Anyway?”〜‘Jazz’Vocal 名盤・名唱(1)

ジャズ好きな方の中には、ヴォーカルのアルバムはちょっと・・・という方もいらっしゃるのでないかと思います。
このコーナーでは、‘ジャズ’ のアルバムとして聴き応えがあるお勧めをご紹介していきます。
Jazz vocalistが選ぶ名盤・名唱。
ジャズ評論家の方やリスナー歴が長いジャズファンの方のお勧めとは別の視点に立った、新しい発見がありましたら嬉しいです。

第1回目にご紹介するのは、Marlena Shaw の“Who Is This Bitch Anyway?”(1975)。
ジャズやソウルといったジャンルを超えて愛されてきた彼女が残した傑作です。

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ジャズ・ファンクありバラードありで、アルバム全体の構成も素晴らしいのですが、私が特に好きなのはオープニングを飾るマリーナのオリジナル‘Street Walking Woman’。

3分間に及ぶ長い男女のチャットの後でようやくフェイド・インしてくるテーマは、16ビートと4ビートが繰り返される変化に富んだ構成。
彼女のような歌唱力がなければとうてい歌いこなせないだろうと思わされますし、どうしたらこんなにカッコいい楽曲が生まれてくるのだろうと、聴く度に感心してしまいます。

さて、あらためてご紹介するまでもないこちらのアルバムを今回取り上げたのにはちょっとしたワケがありまして。。。

体調を理由に引退するという彼女の最後の日本公演に、なんと私は先週行きそびれてしまったのです。 
今年73才なので引退も仕方がないのかもしれないですが、パワフルにはじける彼女のステージを二度と堪能できないと思うと残念でたまらず、ここ数日このアルバムを何度も繰り返し聞いていた・・・という次第。

今回のツアーも、このアルバムで共演したChuck Rainey(b) David T. Walker(g) Larry Nash (pf) Harvey Mason(ds)といったメンバーが一緒でしたが、アルバムではLarry Carlton(g)のからみも楽しめます。

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posted by ありあ at 03:26| Comment(0) | ‘Jazz’Vocal 名盤・名唱